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ハッセルブラッド 500C/M

江戸の仇を長崎で打ったカメラ

このカメラには様々ないきさつと思い入れがある。話は今から20数年前学生の頃、ある日仲の良いそして才能にあふれた同級生のY君(「カメラ談義5」でも出てくる人で、サブカメラもCL+角付きズミクロン35mmを持っていた。ようするにお金持ちの子で、しかもプロになると親も本人も決心していたのである)が、それまで使っていたRB67ではなく、500CMを持ってきたことに始まる。それまで見慣れていたRB67やペンタ67、ブロニカS2などと比べてずっとコンパクトでスタイリッシュであった。彼はほどなく50mm、80mm、150mmと揃えて撮影を始めた。私自身は中判での撮影はあまりしなかったので現実的な関心はそれ程でもなかったのだが、カッコ良く、その意味で羨ましかったのは事実である。ライカはその当時ですらもう過去のカメラになっていたが、ハッセルは明らかに異なり、プロの道具であるとの価値観が定着していた。その時彼に貰ったハッセルのカタログが(シュリロ発行の全部で56頁の立派なものである)今も手元にあるが、それを見ると手書きで当時のナニワ商会の社員が書いた売値(定価からなにがしか引いた額)が残っている。50mm−¥289000.80mm−¥219000.150mm−305000となっている。これにボディ、マガジン2個、各フード、フィルター、接写リング、プリズムファインダーその他を加えて150万円程度かかったと記憶している。為替レート(確か1ドル=250円位だったろうか)のせいなのだろう、ずいぶん高い。貨幣価値の変動を加味すると、今の価値なら300万円以上となるだろう。気が遠くなるより前に、当時の私にとっては宝石か骨董品の世界に見えた。それでも心の隅ではいつか自分もと思っていた・・・。よく一緒に撮影に行ったが(仕事ではなく、作品撮影に)ハッセルの「プシャポン プシャポン」という小気味の良い音には魅力を感じた。仲間内でのRBやブロニカS、ペンタ67とは明らかに一線を画す軽快なカメラであった。私は35mm判を中心に中判はマミヤプレス、その後コーワ66、ブロニカSQ、マミヤ645等に移行していき、いつとはなしに仲間も離ればなれになっていく過程でハッセルのことも忘れていった。商品撮影でどうしても必要なときはビューカメラで6X9ホルダーを使って撮影し、外回りはコーワで充分事足りたのである。コマーシャル写真をやめたのちも、今度はフィールドワークばかりなので35mm一眼レフでばかり撮影することになった。たまに撮るときにも過去の遺物であるブロニカSQ−A、マミヤM645で充分でフィールド用にフジカGS645Sを買ったぐらいであった。私の写真の領域では、機材はフィールドワークでの機能に特化しているので、使いやすく良く写れば何でも良かったのである。
 長くそのような時代が続いたが、何年か前に考えることがあってカメラそのものにも関心を持つようになった。35mmはライカに簡単に移行したが(当然である−フィールドワークにうってつけのカメラなのだから)、中判はそうはいかない。色々な試行が始まる。その過程の中で友人のファッションカメラマン(この人もしばしば出てくる)のハッセル使いの人から誘われて、復刻版の501CMセットを一緒に買うことになったのである。当時(1998年)新品セットで30万円を切っていた・・・今はもっと安い。彼もプロになったときはブロニカSで、売れるようになったとき500CMに換え、その後新型が出るごとに買い換えていったのである。そして彼にとっては懐かしい型の501CMをコレクション用に一台持とうと考え、私は若い頃持てなかった憧れを実現させるため(江戸の仇を長崎でとる)である。手元に届いて正直嬉しかった。特に使うつもりでもなく、勿論コレクションでもなく触っていた。ところが彼と会って色々話し合い、機械を触っているうちに何か違うと二人とも感じ始めた。どういうことだろう?特に彼はずっと使ってきたのである。外見上は500CMとそっくりであるが、細かな部分の仕上げや作りの堅牢さが違うのである。勿論、改良もされていて、ファインダーは明るく、シャッターやレンズも最新のものが採り入れられて、おそらく性能的には上がっているのだろうが・・・。二人にとっては「違うカメラ」なのである。結局は二人とも約1年後にテスト撮影しただけで実用には供さず売却してしまった。そして二人ともまた今度は中古で「本物の」500CMを購入した。ライカと違い一部のレンズを除いてコレクターズアイテムとなっていないので案外安く買える(501CMを売った値段で買えた)。古いが(1973)調整がなされた500CM+プラナー80mmF2.8T*は素晴らしくスムーズで確実である。彼は現行品あるいはひとつ前のCFレンズで50−250mmをほぼ全て仕事用として持っているが(当然ボディは最新のモノ)、このあと500CM時代のCレンズの綺麗なものを集め始めている(昔持っていたが売ってしまった)。50mm、60mm.80mmの白と黒.120mm.150mm.250mmそして今100mmを探している。私はと言うととりあえずテストをして、あとはどうするか考えている。レンズを揃える気は全くない。フィールド用には向かないカメラなのである。今のところフィールド用としてはローライの二眼レフとRFのフジカGSW690である。しかしコレクションとして眺めているだけでは不満足である。目的が必要と考えている。さてどうしたものか・・・。
 ハッセルブラッドの歴史はハッセル本がたくさんあるので、それらを参照されたい。500CMに関することだけ少し述べておくと、500CMはそれまでの500Cを引き継いで1970年に登場し、1989年まで製造された。これはハッセルの各モデルの中で最も長く作られたカメラである。そのあと機能を高めた500CXに席を譲ったが人気は衰えず、500Classicとして1994年まで細部を変えて生産された。そしてなんと1994〜1997年に501C、1997年〜今(2000/9)まで501CMとして作られ続けている。プロ用カメラとしてはこの間も進化を続け、503系−553系−555系、フォーカルプレーンシャッターの2000系−200系と変遷して行くが、栄光の500CMの系譜はとぎれることなくアマチュアやマニア向けに生産を続けているのである。そのせいかそれらの各カメラは基本ボディ、A12マガジン、ウエストレベルファインダー、標準レンズのセット販売のみで、単体での購入はできない。値段も割り切った安い価格で供給され、国産の同じようなスペックのカメラのセットと実勢価格においてあまり変わらない手軽なものになっている(現在セットで23−24万円程度)。
 私から見ると501CMはもうひとつだが、入門用として考えると勧められるカメラである。理由はライカと同じである。長い歴史があり、規格をあまり変えなかったため部品の互換性が高く、故障に対しても部品の供給、修理の技術が確保されているため安心感が高いのである。ハッセルでも最近の200系は電気カメラなのでプロ以外はどうかと思う。ただし標準セットは手頃だが、交換レンズやアクセサリー類はそうはいかない。50mm.150mm共に新品で22−25万円でフード・交換マガジンその他を含めると税込み100万円は覚悟せねばならない。たとえ中古でも程度の良いもので揃えると、せいぜい20万円程安くつく位だろう。新同品だと同じ価格になってしまう。性能は現行品がやや良いとしても、作りがまるで違ってCのT*が未だに人気が高いのである。テストの結果でも80mmF2.8に関して云えば、CもCFもほとんど変わらぬ性能である。慣れがなくても使いやすくなったことと、フレアの出方が多少改善されたぐらいである。仕事して使うのではなく、趣味として使うのなら500CM+CのT*レンズのやや程度の落ちるモノで揃えるのが良いかも知れない。ともあれ「中判はハッセルで」と考える人はライカと同じく、それなりの資金が必要になることだけは覚悟されたい。
ではようやく500CMの使用感についてのレポートである。全体のデザインを見ると1948年に1600Fが初めて出たときから変わらぬ、ドイツのカメラとは一線を画した北欧風とでも云うべきか直線を基調としたシンプルな箱形のデザインである。ブラックよりクロームモデルが人気があるのは黒塗装の耐久性のなさもあるが、主としてデザインのシャープさがクロームの方が強調されるからだと思う。普通のカメラでは真鍮にクロームメッキ、或いはステンレス製の外装が多いが、さすがにスウェーデン製カメラ、スウェーデン鋼にクロームメッキである。したがって他のカメラよりは錆が来やすいことを忘れてはならない。「錆びる」と言うほどではないが、湿気や酸に対してのメンテナンスは必要である。貼り革も決して丈夫ではない。湿気や接触で剥がれることがある。少し浮いてきたらすぐに対処するべきである。ほとんど自分でできるので心配はないが、放って置いて革をダメにしてしまうと高くつくことになる。写真の巻き上げクランクはオプションで、巻き上げはノブ式が標準である。あとは現行品と比べるとレンズが小さくバランスが良い。日本人の手では中判一眼レフカメラの多くのレンズは大きすぎて(特に太さ)使いづらいだろう。ボディはコーワ6やブロニカSQとそれほど変わらないが、レンズのサイズは全く違う。CFレンズでも似たようなもので、せめて35mm判のレンズのうちの大きいもの位(口径55mm程度)に、小さく作って欲しいものと感じる。
 さて撮影をしてみよう。性能は別の話として、このカメラの問題点はマガジン・ボディ・レンズのインターフェイスが自動化・あるいは完全連動化されておらず、そこから派生する使いにくさとリスクであると云えよう。そのことを頭に置いて話を進める。
 まずフィルムを入れる。マガジン上部にあるハッセルブラッド社のロゴの入ったボタンを右に(左右の表記は全て撮影者から見たもの)スライドさせつつマガジンを外す。勿論引き蓋は閉じた状態である。そして左側のノブを起こし、左へ捻るとあっさり中枠が抜ける。フィルムは下から上へ巻き取るので空スプールは上に取り付ける。下側にフィルムをセットし、下から前へそして上を越して、巻き取り側のスプールにフィルムの先端を差し込む。そして小さなノブを回して赤三角にスタートマークを合わせ、フィルム中枠ごとマガジンに戻してロックノブで閉める(この時反対側の巻き上げクランクとの噛み合わせが悪くて閉まりにくくなることがあるが少し動かせば問題ない)。右側の小さなクランクを使ってフィルムカウンターに1が出るまで回すと止まる。この時カウンター横の小窓が白表示。マガジンをさっきと逆の手順で取り付ける。ボディ下の2本の爪にマガジンの凹部をはめて上のロックをかける。この時ロックにカチンとはめるのではなく、ロック解除ボタンをスライドさせた状態ではめて、ロックをあとでかけるのである。長年使ううちにロックピンが痛む事故がありうるのである。ここら辺の話は先程登場した友人が30年間ハッセルを何台も使ってきた経験からの話である(私はまるでハッセルに関しては素人同然)。もうひとつボディ右下の小窓が白表示になっているかどうかの確認である。インターフェイスが自動化されていないので必要な儀式である。赤なら先に巻き上げクランクを回して白にする。つまりマガジンが巻き上がっていることとボディが巻き上がっていることの連動関係がなく、マガジンが白でスタンバイでもボディが赤でシャッターチャージがまだなら使用不能となるのである。マガジン交換時には逆も起こる(つまりボディが白でマガジンが赤)。普通の場合はシャッターを切るとマガジン・ボディ共に赤になり、巻き上げにより両方白になる。マガジン自体は引き蓋さえ閉じておれば赤でも白でも外れる。赤白合わなくなったときに無理に操作するとどうなるのか?恐いので実験していない。レンズ交換時でも似たようなことがあり(あとで書く)、その時は大変なことになるのでマガジンでも試せないのである。要するにマガジンの色とボディの色は合わせる事が不可欠なのである。
 さて話を進めよう。マガジンの引き蓋を引く。この引き蓋のスリットも曲者で、古くなると光線を引くことになるのでメンテナンスは必要である。国産カメラではあまり聞かないがハッセルではよく聞く話である。ピントフードを立てる。501CMではただ蓋を引き起こすだけだが、500CMでは小さなロックボタンを右へスライドさせて起こす。すると蓋が立つと同時にあとの3枚の黒い板が立ち上がり、それぞれにあるピンとスロットが噛み合って完全な箱が作られる。ローライの屏風式も悪くないがハッセルの精密感も良いものだ。ここの精密感が501CMにはない。
 ピント板は何種類もあるが、これに付いているものは全面フレネルレンズのもので、真ん中に+字線が入っている。明るさは充分だが、フレネルレンズの同心円が粗く目立つのでピント合わせは暗いところではしにくい。この点だけは501CMが改良著しい。とは云っても慣れると問題はない。ピントルーペは蓋を開けるロックボタンをもう一度右に動かすことにより立ち上がる。これも他の板と噛み合い完全に密閉された箱になる。迷光が入らずピント合わせは楽になる。その代わり畳むときは丁寧に一枚ずつ畳まないといけない。露出制御はライトバリュー方式で良い面と悪い面を兼ね備える。一般的な使い方としてはシャッター速度(B・1−500)を先に合わせ(当然絞り環も回るが・・・)、鏡胴右下の絞り環に付いているレバーを手前に引くことによりフリーにさせ、絞り値を適正値(F2.8−22・半絞りでクリック)まで回す。これはEV値が赤で表示され、それに合わせるという方法もあるが、絞りとシャッター速度の組み合わせで見る方が分かりやすいだろう。光が安定しておればシャッター環を回すことにより適正値のまま絞り・シャッター速が選択できる。これは仕事で撮影するようなときに大変便利・迅速な仕組みなのだが、連続・不連続に露出値が変化するようなときには、その度にライトバリューを変えねばならず、その変更も迅速に行うことは至難で使い慣れないと失敗の原因にもなるかも知れない。外国ではよくある方式だが、日本で一般的ではないのは日本の光・気象の多様性によるのではないだろうかと思うのである。
 絞り込みはEV変更レバーのすぐ下にあり、押すことにより設定絞りに絞られる。戻すときは少し面倒で、一旦絞りを開放まで持っていくと解除される。つまり国産でよくあるように絞り込みボタンを押すと絞られ、戻すと(あるいは再度押すと)開放になるというようになっていないのである。これも慣れないと不便である。私は絞り込んでボケを確認する事はたまにしかしないが、頻繁に絞り込んで見る人にはかなり負担になるだろう。それにEV対応と違ってメリットはなさそうで、時代遅れと云われても仕方のない仕組みであろう。
 なお絞り値に連動して被写界深度の範囲が赤い指標で距離環の上に表示される。どの程度の正確性があるのか分からないが面白い仕組みである。ローライフレックス二眼レフにもこのようなシステムが採用されているものがあるが、何れもプロユースと銘打ちながら素人っぽい、しかし趣味的なモノである(私は好きだが・・・)。
 ピントリングは大径でボディに近すぎるので慣れるまで操作しにくいが、レンズ長を短くするためには仕方のない設定だろう。露出環と同じく粗い金属製のターレットで回しやすい。表記はmで回転角は∞〜0.9mで約270度と大きい。ここはもう少し回転角を小さく、そして70cm程度までは近接できたら良いのだが・・・。
 シャッターはシンクロコンパー(当然ストロボに全速同調)で、調整されている限りスムーズで信頼できる。ただしセイコーやコパルのシャッターに比べてスローが粘りやすく、購入時は必ず1秒を切ってみるべきである。シンクロ関係はレンズの左側にあり、上から接点、M・X・V(セルフタイマー)切り替えレバー、そのロックレバーと並んでいる。このレバー類は作り・動作が頼りない。ただし普通はXに固定しているので不便はないだろう。タイム露光はシャッターボタンに仕掛けがあり、ボタン基部のシャッターロックレバーに見えるレバーをTに合わせてシャッターを切るとタイム露光となる。レバーを戻すとシャッターは閉じる。また巻き上げクランクの下にある平たいボタンを押すとミラーアップができる。これはシャッターを切ると解除される。撮影に必要とされる機能はすべて揃っており不満はないが、操作性は慣れないと戸惑うこともあるだろうし、慣れたとしても良い面と悪い面は同居するだろう。やや時代遅れだが、それも含めて良しとする、使い手を選ぶカメラなのだろう。もうひとつ気を付けることがある。レンズはシャッターボタンと反対側にあるやや太いボタンを押して、レンズを向かって左に回して外すのであるが(シャッターチャージされていないとレンズは外せない)シャッターチャージ用のカプラーの噛み合いが微妙で、時に事故につながる。プロがよく犯す失敗だが、メカ式のシャッターなのでチャージされたまま長く置くと機械的に良くないため(特にシンクロコンパー)わざとシャッターを切って保管することがある(レンズ側のポチを押すと切れる)。装着するときにまたコインなどを使ってチャージすれば良いのだが、それを忘れてボディに取り付けると大変である。ボディ側でシャッターを切ろうとしても当然切れず、切れないからチャージもできない。レンズも外せなくなっている。ついに修理店へ持ち込むしかなくなるのである。チャージされていなければボディに付かないか、間違えて付けたときに外せる仕組みがあればいいのだがダメなのである。コーワ6でも似たような構造であったが、このような間違いは起こらないような仕組みを採用していた。先程書いたようにボディ・マガジン・レンズのインターフェイスに若干の破綻・不完全さがあるのである。問題はそれを気にするかどうか、それを自分で解決しハッセルの世界を楽しむかと云えよう。
 さて12枚撮りきると、それ以上巻けもせずシャッターも切れない状態になる。そこでマガジン側の巻き上げクランクで最後まで巻き取り、最初に戻る。マガジンの引き蓋を引いているとマガジンも外せない(閉じているとシャッターは切れない)。
 あと注意事項としてマガジンを取るとボディの後端に見える遮光板(フォーカルプレーンシャッターに見えなくもない)は大切なので触ったり濡らしたりしないこと。あまりここの故障を聞かないが、ここが調子悪くなると漏光により撮影が不能となる。そしてミラーが短く狭いため、望遠レンズを付けるとミラー切れを起こすので長い玉を常用する人には勧められない。150mmまでであろう。
琵琶湖長浜にて。水圧で漁網を洗う。逆光では現代のレンズとしてはゴーストやフレアが出やすい(作られた当時はこれでも最高の水準だった)。

 レンズはカールツァイスT*規準のレンズで、中判レンズとしては上等である。私が知らないだけかもしれないが、どうもT*は階調性と色再現の社内基準ではないかと思っている。RTSやG用のツァイスを調べても必ずしもシャープさの基準ではないように思われる。悪いわけではないが狭い意味での画質ではコーワやブロニカと全く差がなく、少し本質の見えてきた今になって、階調性と色再現に優れた特性を見いだせるようになってきた。ここから先はRTSの解説の時に詳しく述べるので今は置くが大切な話である。80mmレンズは5群7枚の変形ガウス型の構成でライツレンズなどと比べて像の平坦性に優れ、周辺部まで安定した像を結ぶ(その代わり中心部のカリカリとしたシャープさはライツが上である)。ただし絞りを開けても悪くないが、絞っても思ったより画質が上がらない傾向がある。日本のレンズ技術者はライツよりツァイスを選んだようだ。おそらく日本人のメンタリティにもツァイスの設計思想が合うのだろう。私の友人もハッセルの広角レンズへの信頼はまったくないが、標準から望遠についての評価は極めて高い。ワイドは60mm以外平坦性が悪く、中央と周辺の描写に差がありすぎるとのことである。で彼はCの40mmも50mmも売ってしまった。ただしCFの50mmは持っている(評価はまだ低いが、改善されているのだろう)。私は80mmしか知らないがCFレンズにも劣らない性能である。発色がやや地味なのと逆光時の画質低下がある点が指摘できる。フードは必携である。フィルター径は独自のB50のバヨネットタイプでフードも同じである。B50−55mm.52mmの変換アダプターやB50のフィルターも国産各社から出ているので純正にこだわる必要はない(しかしフードはできれば純正が深くて効果を期待できるため良いだろう=ただし高い。現行品はB60なのでB50は生産していない)。

私はB50仕様の国産マイナーメーカーのメタルフードを付けている/仕上げは純正より良好。
ストラップも専用のバヨネット式だが、今のモデルと同じなので純正品が使える。値段は2−3000円程度と安くて機能的なので新品の純正品がいいと思う(これも昔の革製の純正品が中古であるがやはり高い)。


 さてここまで揃ったら街へ出て写真を撮ろう。ライカやローライと同じで、その気にさせてくれる良い機械である。レンズ・アクセサリーを増やす気はまったくないが、このままでもローライ二眼レフと同じ機能である。マガジンやレンズ交換のややこしさもこのままなら問題ない。私の中判カメラの遍歴も落ち着くところへ落ち着いたと思う。ハッセルブラッド500CMとローライフレックス3.5Fがあれば私にとってサブカメラである中判は充分・最良の選択なのかと思えるようになってきた。
501CM+CF80mmF2.8

ブロニカS2。ハッセルよりもローライSL66に近い。
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