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キヤノン35mmF2.8LとライカズマロンM35mmF2.8

ライカに追いつけ! 2

 今回は1950年代に熾烈に行われた、日本メーカーの「ライカに追いつけ」の第二弾としてライツズマロン35mmF2.8(Mマウント=1966年製造分)とキヤノン35mmF2.8L(タイプT=1951年発売=これは推定1957年製造分)を取り上げる。ズマロンはキャノンに遅れること7年あまり、1958年からようやく35mmレンズがF2.8となった。以前「カメラ談義11」にも書いたとおり広角レンズの開発においてはキャノン・ニコン(ニコンがF2.5を出すのは1952年)がライツをリードしていたと思われる。写真で見るとおり、デザインでもライツがキャノンの影響を受けていることが分かるだろう。ひとつ前のズマロン35mmF3.5Mでも1954年の製造開始(1960年中止)であり、その前は衆知のとおりエルマーやズマロンの旧式の回転ヘリコイドタイプである。ちなみにニコンはレンズ性能で劣るところは少ないもののデザイン・機能ではクラシックなライツ型を踏襲している。ニコンSマウント用レンズはモダンなデザインなのに不思議である。ニッコール35mmについても興味深い話があるので、後日稿を改めて解説することにしよう。一方キャノンにおいては1950年のセレナー35mmF3.5の発売時からモダンなデザインとなっている。この頃は性能的にはライツ・キャノン共に互角で、引き分けというのが正当な評価だろう。デザインについては古いスタイルも捨てがたいが(私は好きである)、回転ヘリコイドや鏡胴の小ささが使いにくさにつながっているため、さすがのライツも改めたのだろう。
 さてF2.8モデルではどうだろうか。両方とも長く作られたため様々なバリエーションがあり、当然細かな改良がなされているだろうから、一般化はしにくい面もあるが、私の持っているものはほぼ同じ製造年で、比較に同時代性があり有意であろう。どちらのレンズも比較的プレミア度が低く、購入しやすいことも採りあげた理由のひとつである。
 まず外から見てみよう。ズマロンはほぼ同時期に発売されたズミクロン8枚玉とほぼ同じデザインで洗練の極みにあると云っていいだろう。更にこの前のズマロン35mmF3.5Mから発展させた意匠であることも良く分かる。大きさは長28.6mm、径51mm(フィルター径E39)、重量180gである。材質は軽合金と真鍮、ステンレスを使用しており、同時代のレンズと比べて、見た目よりは軽い。今でこそ重い真鍮性のレンズが趣味性をくすぐるせいか珍重されているが、使用するためには堅牢性を確保した上でなら軽い方が良いに決まっている。この頃はライツも実用品として勝負していた時代で、多くの新レンズは軽合金を多用している。コストだけを見ると現在と違い、それまでの真鍮にクロームメッキの仕上げの方が安くあがった時代なのである。最近のズミクロン35ASPHのクロームモデルは真鍮を使い、実用に差し支えるほど重い。趣味の品物になってしまったのだろうか?現在の低公害のクローム仕上げのために真鍮化はやむなし(ドイツでは低公害仕様は徹底されている=ベンツやBMWの塗装も水性塗料となり光沢は悪くなった)との説明を聞いても、私は実用を優先させてブラック=軽合金製で軽い=を購入した。クロームレンズが好みであるにもかかわらずである。当然に現行のエルマリート90mm、ズミクロン50mmも同じ理由でブラックとした。話を戻そう。ズマロンに対してキャノンは長さ25.5mm、径48mm、フィルター径もE34と、全体にズマロンより一回り小型である。しかし重量は165g(これはキャノンの公式データだが、実測ではもう3gほど重い)でズマロンと変わらない。こちらはそれまでと同じ真鍮にハードクロームメッキを中心とした材質で比重は大きい。しかしどちらのレンズもサイズ・重量ともに違和感なく使用できるだろう。
 次に仕上げを見てみよう。ズマロンは同時代のライツレンズ(「カメラ談義」の26.30参照)と同じ仕上げで、たいへん美しい。あとの時代のクローム仕上げと異なり、やや黄色みがかかった梨地仕上げで各文字の彫り込みや墨入れもカチンと仕上げている。ただし同じジェネレーションとは云え、もう少し前のDRズミクロンやヘクトール135よりは細かな部分の仕上げが簡単になっている。たぶん材質が異なり(DRは真鍮)軽合金だと難しい細工があるのだろう。レンズを下から順に見てみると、基部はステンレス、その上に被写界深度目盛、距離環=下からm(黒文字)feet(赤文字)が表示され、最短撮影距離は0.7mである(回転角は約120度)。そしてこのレンズの最大の特徴となっているピントレバーが付いている。それまでのストッパー付のチョボひとつから、これ以降標準的になった二股のものになった。使い勝手はそれ程違わないがデザインのモダンさは秀逸で私も大好きである。私は個人的にはストッパーは要らない(回転ヘリコイドレンズは除く)と思っているが、これにはライツに敬意を表さねばならない。極めて滑らかなヘリコイドの回転の後、∞で「チン」と止まる。レバーと一体化した爪を軽く押してストッパーを解除する。ストッパーの構造物は内部に隠れているため、まるで手品のような動きである。マニアがため息をつく瞬間なのだろう・・・実用本位の私にもその気持ちはよく分かる。さてその上には絞り環がある。ターレットの幅は狭いが少し外側に出ており使いにくさは全くない。絞りはF2.8−22(ズミクロンは16まで)で等間隔・クリック付(中間クリックはない)で使いやすい。絞り環を動かすとタッチは「コチンコチン」と良好である(私はこのような使い心地は重視する)。レンズ先端部はバヨネットフード取り付け用の溝が切ってある。フードはIROOAや12504、12585、12536等多くのフードが取り付けられる。私は12504を好むが(デザインとシリーズZフィルターが使用可)効果としては深いフードであるその他のものが良いだろう。レンズ前面は黒で「LEITZ WETZLAR・・・」と彫り込んである。すべてが美しい。
 さてキャノンに進もう。デザインは1950年ごろから始まったモダンな、そしてキャノンの独自性が感じられる意匠を踏襲している。社内的には「タイプ1」と位置づけられているデザインである。1951年に登場し、1957年にタイプ2に変わった(それは私には改悪=コストダウン以外はないと思われる。事実当時インフレだったにもかかわらず値下げされている=しかし実験ではタイプUが絞り開放では良かった。改良されているのか個体差なのか・・・)。私のレンズは変更直前の「タイプTの新しい」レンズである。仕上げはライツとは違った意味で美しい。見てみよう。全体は真鍮にクロームメッキとライツで云えばズマリットなどと同じような次元のフィニッシュで目新しさはないが、工夫のあとは随所に見られ日本的な細やかさが感じられる。まずマウント部はポリッシュ仕上げで光沢が強く、ここに被写界深度が表示されている。そのすぐ上にヘリコイド環があり、細かな梨地仕上げで細いターレットリングとピントレバーが付いている。つまりレバーとリングでピント調整が可能となっている。リングは「飾り」の要素が強いが、距離環の回転角が∞〜3.5feet(約1m)を180度とやや大きく、ピントレバーだけだと合わせにくく意味なくはない。ただしこのターレットはヘリコイド環にフィルターのようにネジで付いているので緩みやすく、時々締めなければならない。緩んでいても心配はない。それでピントが狂うわけではない。ヘリコイドはfeet単表記でズマロンのダブルスケールよりは簡略である。しかしこれも使用者から見るとmあるいはfeetのどちらかがあれば各々の度量衡の国では良いことで、むしろメーカーはダブルスケールで1種類のレンズのみ作ればよいことになり、コストの低下につながるだろう。勿論中古を探すときには両方併記してあれば、どの国の人でも使いやすくなるのは云うまでもない。やはり現在常識となっているダブルスケールが理想的なのだろう。操作感はやや固いが使い込むともう少し軟らかくなるだろう。ストッパーもニッコールなどと異なり高さがあって色々なボディの各部との干渉は起こらない(ピントレバーが低いと、Mのファインダーフレーム切り替えレバーの基部に当たったり、CLのバッテリーチェックボタンに当たったり、ベッサRの「切り欠き」に収まりきらなかったりする)。キャノンはこの時代にそこまで予測していたかどうかは分からないが、モダンなデザインに変更したときにこのようになったのである。結果として古いデザインを踏襲したニッコールのワイド系のLレンズは、今のM・Lボディには使いづらくなっており、キャノンは相対的に使いやすいだろう。さて、この環の上に絞り環があるが、少し粗めの梨地仕上げで距離環とは変えてある。絞り環(そしてターレットも)はズマロンと比べて幅広くとってあり、こちらが少し使いやすい。ズマロンと同じくF2.8−22で、各絞り値にクリックもある。タッチも「コトンコトン」とズマロンよりも更に良好である。ただし唯一の欠点は等間隔絞りになっていなく、しかも絞り環の回転角が小さいため、F8以上は中間絞りの設定は至難の技である。TTL(絞り優先AEなら更に合理的)での使用を前提とするか、よほどに使いこなせるかが条件となる。我々がすでに慣れてしまっている等間隔絞りの有り難さがよく分かるのである。店頭で買うときは重視しないかも知れないが、細かなところで実用の範囲を超える設定があると知って欲しいと思う。正確な露出制御という観点からは、TTLカメラとの組み合わせ以外での使用は勧められない。さてレンズ先端部はまたポリッシュ仕上げである。つまりリングを積み上げるように光沢と半光沢を組み合わせてあるのである。全体の文字の彫りやターレットの仕上げはズマロンに負けないが、その文字は小さく、ズマロンに比べると(特に老眼の人には)見にくいだろう。レンズ前面は黒でズマロンと似たようなものである。タイプ1レンズの初期にはセレナーブランドもあるが、これは末期なのでキャノンブランドである。
 レンズに移ろう。ズマロンは10枚絞りで真円に近いが、どうした訳かF4では花形の角が出てしまう。キャノンは6枚絞りで真円には遠いが、絞り羽根の形の設定が良いのか角は目立たない。レンズ構成を見ると、ズマロンはF3.5のレンズを大口径化した4群6枚の典型的なガウスタイプである(本によっては2群6枚構成となっているが、それは間違いである)。コーティングはアンバー系でレンズ鏡胴前面からやや「奥目」にある(ただしズミルックス35などと同じくブルーのコーティングレンズもあり、一概には云えない。私はズマロンM3用をもう1本持っており、これはブルーである・・・そして描写はここでの解説より固いレンズとの結果がある・・・これもいつか上梓する)。キャノンはこれも4群6枚のガウスタイプで前玉の径はズマロンより少し大きく、後玉の径はほぼ同じである。コーティングはシアン系(これはあとで意味が出てくる)で最後面のみマゼンタである。
 さて描写についてである。この時代画期的にレンズは進歩したが、そのような状況では数年の違いで様子が変わることがよく分かる結果となった。どちらも広角レンズの大口径化の最前線のレンズであり、少しの無理をして発売を開始したのである。ライツはズマロン(ドイツ)と同時期の1958年にズミクロン35mm−8枚玉(カナダ)を出して金字塔をうち立て(設計はズマロンが古い)、キャノンは1962年に35mmF2を出して(さしたる評価はなされていないが性能は抜群である=後日の解説となる)互角の性能になった。特にキャノンは1950年3月にF3.5、1951年6月にF3.2、1951年10月にF2.8と開発は急であった。そのような訳で両者のレンズは過渡的な要素を持っており、どちらもひとつ前のズマロンF3.5やキャノンF3.2より設計に無理があり、物理的な性能では後塵を拝していたと云えよう。他の人の意見によるとズマロン2.8には当たりはずれが多く、簡単には結論できないという。しかしおおむねの意見は私と似たような結論に達しているようである。ではどうなのだろう、私のレンズで確認してみよう。絞り開放ではホヤホヤで半逆光の場合でもハイライトに滲みが出ることがある。この辺は8枚玉ズミクロンでも変わらないが、中央部のシャープさは全く異なる。ズマロン3.5(M)でも2.8より良いだろう。勿論、開放がF3.5とF2.8では単純な比較はできないが一段甘く、コントラストも低いのは否めない。ただし像面の平坦性はあるようで、中心と周辺に大きな落差はない(8枚玉の落差は予想より大きい)。F5.6でもまだ甘く、ズマロン3.5の5.6時の方が少し良い。F8まで行くと解像力・コントラスト共に良好になり安心して使えるようになる。F11になると更に良くなる。それより絞っても良くはならないが、回折で大きく崩れるような事はない。縦軸の収差の補正が足りず、逆に絞りの効くタイプのレンズなのだろう。絞り値がF22まで設定されているのも理由があるのだろう(ズミクロンはF16まで)。ズミクロン35ASPHが開放から使える代わり、絞り込むと画像が悪くなるのと好対照である。また絞りをある程度開けるとボケ味は良い。これも収差補正と関係あるのだろうが、見かけ上深度が浅く、ピントが外れると急速にボケる。ASPHのボケ味(悪くないが、溶けるような味ではない。そして一眼レフのレトロフォーカスレンズに比べると遙かに良い)とは一線を画す軟らかさである。ワイドでぼかす・・・28mmでは無理だが、RF機の35mmなら可能である。つまりズマロン35mmF2.8は絞って使うか、わざと軟らかな特性を積極的に使うような撮影に向いており、存在の理由があるのであろう。決して同時期に同じ鏡胴で販売していたズミクロン8枚玉の廉価版レンズではないことを主張したいのである。ひとつ8枚玉より優れた部分がある。それは色の再現性がナチュラルに近く、少なくとも8枚玉の黄色味よりは癖がないと云えよう。同じような価格帯(10万円前後でまずまずの物が入手可)のズミクロン6枚玉と同じく、もう少し見直しても良いだろう。
 さてキャノンである。これも少しの問題点を抱えている。その前のF3.2はほぼ同じ定格のガウスタイプレンズだが、周辺をレンズ内のリングで切ってあり、レンズ周辺部の光束を規制してある。そのためF2.8とほぼ同じ口径ながら、F3.2なのであろう。更にその前のF3.5がテッサータイプで限界があったため上記のとおり開発−発売を急いだのだろう。そのような訳でF2.8はF3.2に比べてそっくりの画像ながら浅絞り(F5.6程度まで)でやや甘さがあることは止む終えない。さらに何の加減かF2.8のみ逆光時シアン色のゴーストが必ず出る。原因はコーティングが弱く、どの面かで反射されたコーティングのシアンが絞りの形にゴーストを作るのである。画角内に太陽があるときはそれ程でもないのに少し外にあると出る。したがってフードは必携であるが、純正品(私は最近購入)はおろか適当な34mm径の35mmレンズでケラレないものが見つからない。エルマーのカブセ式A36ではほんの少しケラレる。色々試した結果、純正を除くとラッキー商会の34mmねじ込みフード(白)が最も良いこととなった(これは最近同じ物がNNCでも出た)。形は少々不細工だが、充分深く、ケラレず、しかもクロームなのである。純正のものが手に入るまでこれを常用していた。ただ大きなフードなのでせっかくのレンズのコンパクトさを生かしたい人は、34mmフィルターでも着けてフード無しで楽しむのもいいだろう。ゴーストが一個でるだけでフレアは少ないため気を付けて撮影すれば良い。描写についてはF5.6までは周辺の崩れはあるが、中心はしっかりしている。やはり絞るに従って画質は上がりF11程度で最良となるようだ。ズマロンと比べて、絞った時のコントラストがやや低い以外は断然キャノンがいい。当時キャノンのレンズの設計はコントラストより徹底した解像力重視の設計だったのだろう。非常に線の細い、そして軽い絵になる。コントラストが低いためハイライトも飛びにくく、シャドウも潰れにくい。色彩もナチュラルでカラーリバーサルも安心して使える。こう書くと理想的なレンズと聞こえるかも知れないが、それは違う。現代のレンズが解像力一辺倒ではなくMTFを重視しているように、様々な条件で万能なレンズは解像力とコントラストのバランスが大切で、それで見かけ上のシャープさが決まるのである。キャノンも条件を整えないと、まるで冴えないノッペリした絵になる。例えば天気の良い日に順光でなら綺麗に解像する竹林が、曇った日にしかもアンダー気味の露出で撮ると緑色のカーテンのようになったりする。私はどちらかと云うとコントラストより解像力を重視するのでキャノンの描写は大好きだが、仕事でここ一番の撮影ではズミクロン7枚玉かASPHになってしまう。ともあれキャノンは描写においては条件付でズマロンを上回っており、使い方さえ誤らなければ現在でも実用に資するレンズと言えよう。私の知人もCLにキャノン35mmF2.8を合わせたが(CLフルフレームで35mm)、小型で小粋なこのレンズはCLの良い相棒となるだろう。
 今回の対決ではややキャノンに有利な結果となったが、ズマロンが劣るなどと云うべき結論ではない。逆に1958年の段階ではズマロンは最新のレンズであって、むしろ新参のキャノンが戦後の復興期に短期間のうちに良く開発したと、その意匠も含めて高く評価したいと思うのである。まさに「ライカに追いつけ!」である。
  

トップの写真は両レンズの比較としてよく分かるだろう。キャノンが一回り以上小型である。形や仕上げは好みはあるとしても、想像と異なりキャノンがライカに比べて「洗練」という点で 劣っていない事が理解できるだろう。 

M7に。ちよっとバランスが悪いが、現実に使用しているときは問題ないだろう。 

  キャノン35mmF2.8を別の角度から。この青いコーティングが青いゴーストの原因である(本当の原因は内面反射の除去が不充分なのだが)。

35mmF2.8タイプIIレンズ。性能は少し良くなったが、コストダウンと意匠の「人間工学的」な改変によって、あまり端倪すべかざるものとなっている...ただし実際の使い勝手は良くなった(要するに好みと実用の問題)。

ズマロン35mmF2.8(1966)、別の角度から。ズミクロン8枚玉と同じデザインである。1958年の発売以来、なんと1974年まで(角付きズミクロン6枚玉の終わるときまで)作り続けた。8枚玉が1968か9年までの生産である事とと比較すると相当に長い。おそらく中身は改良されているだろう。このページの現在での評価とは別に実験は続けたい。おそらく違った魅力が見つかるだろう。長く愛されたレンズである・・・何かが奥に潜んでいると予感する。

M3に取りつけたズマロン35mmF2.8/M3。眼鏡付は無骨だが大好きな意匠である・・・このレンズは2008年友人に譲渡。テストすると2.8ズマロンはこちらが性能がいい(通の風評を裏付けたか?)。

M4−2に取り付けたズマロン。黒ボディに白レンズ、これを嫌う人もいるが私は大好きである。

ヘキサーRFリミテッド+summaron35mmF2.8。やっぱり格好いい(summicron35mm8枚玉の好まれているのもデザイン・仕上げではないかと思っている)。

京都にて(近所のため池)。F8まで絞るとキリッと来る。M2+ズマロン35mmF2.8+EB−2

京都にて(近所の用水路)。極めて線の細い描写だ。M5+キャノン35mmF2.8+EB−2

絞りを開けたときのsummaron35mmF2.8の画質が芳しくない理由のひとつがデジタル時代になって概ね分かった。M9で撮影して細かく見てみると、少し前ピンなのである。絞りF8になると画質良好になるのは被写界深度に入るためである。ヘリコイドの調整でジャストまで追い込めるが、それでも改善しなければsummaronの本質的な欠点となる。それにしてもsummaronの仕上げの良さは素晴らしいものだ。

summaron35mmF2.8に比べると色味も含めて(不思議?)Canon 35mmF2.8の方が良いだろう。このレンズは中央部はF4で整い、絞っていくと良像範囲が広がり、F8で周辺まで綺麗に写る…現在のCanonレンズと似たようなサッパリした絵を作っている。

参考資料

・キャノン公式ホームページ ・「ライカのレンズ」写真工業出版社 ・「ライカの歴史」中川一夫著:写真工業出版社

・「レンジファインダーニコンのすべて」久野幹雄著:朝日ソノラマ ・「ニューフェイス診断室−ライカの20世紀」朝日新聞社


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