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「ライカL−Mマウントレンズ/1」 広角系の2   35mm 

★LeicaM9購入を期して、ライカマウントレンズをデジタル時代に蘇らせる実験を開始した。随時テストしていくので参考とされたい。 


1. トリエルマー28−35−50mmF4 b 1998 想像より使えるレンズである。一眼レフのズームと同じとあなどってはいけない。私は結構よく使う。線の細さは感じられないがコントラストが高く、シャープ感はある。平坦性も高いので平均画質は予想を上回る。フィールドワークにはピッタリだが、ワイドだと長いレンズ鏡胴で画面が大きくけられる。新型が早くも出るようで口径が55−49mmに変わり、ピントレバーも付いて取り扱いはし易くなるだろう。どうしたものかM6では無限遠がピッタリなのにヘキサーRFでは誤差の範囲内とは言えほんの少しずれる。メールで寄せられた情報でもヘキサーRFのボディ・レンズとライカのものとの整合性=相性に問題のあるものがあるようだ。今回ヘキサーRFボディを2回目のピント合わせの調整に出したら手持ちのライカレンズとの相性が改善された。どうやらコニカ内部でも改良は進んでいるようだ。「カメラ談義」収録。ドイツ/55mm径。

想像よりよく使うレンズである。1段絞ればもう充分。なんだかこのレンズ1本と90mmレンズ1本、あとはズミルックス35/50のようなハイスピードレンズ1本あれば全部撮影がまかなえそうである。これからライカを始める人で機材に凝りたくない人には(そんな人はいないだろうが)、そしてレンズ交換の面倒な人には絶対のお勧めレンズだ。

新旧のトリエルマー。左の新がひとまわり小さくなっている(レンズ構成は同じ)。コーティングは異なるので少しのガラスの手直しがあったのだろう。写りの差は判別不能だが、使い勝手は多少良くなった・・・たいした差ではないためライカとしては珍しく早いモデルチェンジだと思われる。フィルター径は55mmが49mmに/ピント合わせがリングからレバー式になった。

28mmで。絞り開放だが充分なピントの深さである。ヌケもキレも良好、まず云うことなしだ。

友人から新型Tri-Elmarがやってきた。使うことはあまりないかも知れないが、埋もれつつあるレンズを発掘したようで何となく嬉しい。

天竜川二股地区の舟下り…これは50mmで撮っている。フレアはLeicaレンズらしく逆光に弱い特徴である。しかしLeicaM9との整合性は問題ない。

同じ時に28mmで撮るとフレアは出ない…trielmarはワイドを重点に設計されいるのか?

2.ズマロン35mmF2.8−M3 c 1960 28のズマロン2.8とはコーティングが全く異なり(両方ともノーマルで再コーティングではない。何本も比べてみたが、どちらかというと古いものはブルー系が強く、新しいものはアンバー系が強い)、描写はこちらが優れている。程度は似たようなものだが、より古い方が良いというのも不思議なことである。M3用のレンズは本数が少ないにもかかわらず人気がないのか、同じ程度なら明らかに安価である。どちらにしてもズミクロンの陰に隠れて目立たないが、ズマロンは2.8も3.5も良好な性能を持ち、使えるレンズである。ドイツ/E39/1958−1974(隠れた超ロングランレンズである=眼鏡付は1968年頃生産終了)。

M3に取りつけたズマロン35/2.8。いいデザインである。

飛鳥石舞台古墳にて。カリッとしたシャープさはないが、手堅い写り方をしている。M3に取りつけるワイドレンズはこれが多い(ズマロン35/3.5も捨てがたいが)。

3.ヘキサノンKM35mmF2 b 2000 まだ使い込んでいないので詳しくはかけないが、レンズの平坦性は極めて高く、開放から使える数少ないものである(私の採点はかなり厳しい)。その代わりF11まで絞ると画質は下降する。大きなレンズでM5以外に着けるとバランスが悪い。現行のズミルックス35mmより大きい。E46。

MPに取りつけた。これを見ても、あまりに大きすぎるのが分かるだろう。私のように条件の悪い野外で仕事をする人間には不向きである。ただし性能は折り紙付きと云っておく(逆光にも強く、球面レンズの良さが分かるレンズだ)。レンズの大きさに比べてピントレバーが小さく、ピント合わせはしづらい=28mmのように普通のヘリコイドリングが良かったのだろう。

左から35/90/50/28の各レンズ。当たり前だが全く同じ仕上げ。どことなく以前の一眼レフ時代のヘキサノンレンズに意匠が似ている。

この写真でも多少は感じられるが、シャープである=高解像力・高コントラストで天候の悪いときも問題にしない。これでコンパクトで軽ければ云うことなしなのだが。

4.ズマロン35mmF3.5M c 1954  最初期型のズマロンMである。さすがに造りはしっかりとしており、描写もすでにM3用とLバージョンを持っているので安心して使える。デザインも距離の表示が横を向いており個性的である。マウント基部はこれ以外にズマリットや初期のズミクロンの様にスカートが付いているものもある。そしてM2以降の35mmフレームに対応したものもある。コンパクトで使いやすく、M6TTL0.85やCLのフルフレームに相当するため外部ファインダーに頼らずとも使えるものである。ドイツ/E39/1954−1960(1958年頃にM2のフレームに対応した)。

CLには少し重くて前下がりになるが、縦吊りのために携行時の問題はない。それよりも大きさと使い勝手で、この組み合わせは具合がいいだろう=性能は折り紙つき(もちろん時代を考えて)である。

ズマロン35mmF3.5M 末期生産品を除き、M2以降のボディに取り付けても50mmのフレームが出る(当然M3でも)。非常に造りはしっかりとしている。距離目盛の刻み方が個性的だ(もうひとつのデザインモデルはスカート部がズマリットMと同じもの)。ベッサR2が出たため俄然使えるようになった。自動で出るフレームは確かに便利だが手動も悪くない。2焦点や3焦点のレンズにも応用できる。複雑なトリエルマーのシステム(それに特許で守られている)は便利で合理的だが国産でそういうレンズを出そうとするときはその方法しかないだろう。たぶんコシナ=フォクトレンダーは工夫するだろう。

アグファ・スカーラによるモノクロポジ撮影。越後荒川にて(何となく色がついているがスキャン時の色つきである)。モノクロがいいと人は言うが、ほとんど撮らない私には何とも言えない。

5.エルマー3.5cmF3.5 1948  末期の生産の戦後型エルマー/35。もっとも初期のコーティングレンズでもある。性能はそれなりだが「ライツの味」は存分にあり、そのコンパクトさはなかなか良い。キヤノン35mmF3.5もそうだが、F値を小さくすれば(そして収差補正をライトにすれば)レンズは小さくできる見本である。そんなレンズがあっていいと思う。その意味で最近のコシナ=フォクトレンダーのヘリアー50や今度のスコパー50はいい線いっていると思う。A36/ドイツ 「カメラ談義」収録。*

青いコーティングが分かるだろうか?ベッサTに取りつけたエルマー/35。まるで沈胴させたエルマー50である。むしろ絞り操作のしにくさから、絞り優先AEのヘキサーRFにつけた方がいいだろう。素晴らしい性質を持ったレンズである・・・これを使うべき友人に譲った。

これは譲った友人の写真だが、耽美的な描写の素晴らしいレンズである。

6. ズミクロン35mmF2(M3用−8枚玉) c 1961 周辺部を多少犠牲にしても中心部〜中帯部の描写の繊細さをとったもの。ただし逆光にはやや弱い。神話は本当の部分もあり、そうでない部分もある。神話とはそう言うものだろう。「カメラ談義」収録。ドイツ/39mm/1958−1968(眼鏡付きの6枚玉ズミクロン35は1969年以降少数作られた)。

私はM3用の眼鏡付レンズのデザインが好きである。テストのあげくついに6本目で購入に踏み切った。

条件さえ気をつければ良く写る。ただし「神話」には当たっている部分と単なる風評の部分があることを忘れてはならない。冬の大和川河畔にて。

7. ズミクロン35mmF2(8枚玉) c 1963 個体差はある。それにしても微妙・神経質なレンズである。独特の黄色味がある。テスト用に借りてきた。ドイツ/E39。*

M3用のレンズが比較的安価である。どちらかと言うと趣味的なレンズなので、古典的なM3ボディと組み合わせるのにちょうど良い。

35.ズミクロン35mm−M3 c 1959 私にとって3本目の8枚玉である。いままでは全て知人のレンズだったが、今回はどうなるのだろう。描写は評判ほどとは思わないが満足できることは認める。あとはフレアの出方が問題である・・・フレアの覚悟はできているが、その性質が合否を決定する。テスト後、性能的には素晴らしいことが分かったが、やはりこれも性質が以前の2本と違っていた。色はどうしたわけかニュートラルに近い。カナダ/E39。*

8. ズミクロン35mmF2(角付き6枚玉) b 1969 これも個体差がある。下のレンズより周辺が落ちる。コンパクトで良いが、「角」での絞り操作はしづらい。借りてきたが購入は断念。カナダ/E39。*

左は外見は非常に良かったのだが、周辺と遠距離の画質がままならなかった。この時代までは個体差があったように思われ、次の3rd以降の1980年代からは安定していると思われる。右は私所有のかなりヤレた6枚玉。少し見ただけでも細部が異なるのが分かる。

9. ズミクロン35mmF2(角付き6枚玉) b 1970 8枚玉より平坦性が良くなり、開放では中央でやや落ちる代わり周辺部で悪くない。色は改善されたが、繊細さはなくなった。しかし侮れないと思うべし・・・ズミクロン35の中で、私はこれが最も好きである・・・性能は別として。客観的に見ると私はライカを使いながらツァイス的なレンズを好む(ただし時として出るマゼンタ系の色の偏りは不快と感じる)ようである。両方のタイプのレンズの良いところを合わせ持つモノが良いのだろう。「カメラ談義」収録。カナダ/E39/1969−1979(角付と角無し以外にも様々なバリエーションがある=私自身でも4タイプ見ている。なぜたった10年間に目まぐるしく変遷したのだろう?)。

私の持っているライツレンズで最も汚いが、その傷が気に入っているレンズである。角付6枚玉は3本テストしたが、もっと見かけの良いレンズを押さえてこれが一番撮影結果が良かった・・・良かったから使い込まれたのかも知れない。

最近友人から、ズミクロン35/50mm2ndのセットがやってきて、2セットになった。来た方がいずれも綺麗で写りもいいため、こちらを使うことにした。

新緑の奈良・猿沢の池にて。コントラストは高くないが綺麗な描写をする。8枚玉と比べて周辺まで安定したピントを結んでいる。

39. ズミクロン35mmF2(7枚玉) b 1995 8/6枚玉より更に良くなった。絞り値による描写の差が少なく使いやすい。私はズミクロン35mmの中で総合的に評価すると、これが一番良いと思う(ASPHも含めて)・・・好みは別だが。ドイツ(レンズヘッドはカナダ)/E39/1979−1997。*友人の国産中級Lレンズ3本と交換した・・・私は7枚玉を3本も持っていたのである。

M5に取りつけたズミクロン35/7。私はカナダライツの作ったなかで、もっとも傑作レンズと思っている。

京都/仁和寺にて。あまりボケ味は綺麗ではない。しかし写るべきところはキチンと写り、階調性においても何ら云うことはない・・・実験室のデータではあまり高い数値を出さないが、実写では常に期待を裏切らない。なぜか?整った条件で撮るのと劣悪な状況で撮るのとを比べるとすぐに分かる・・・あとは秘密。

10.ズミクロン35mmF2 B 1979  上と同じレンズ。しかしズミクロン50/2ndと違い少し仕様に差がある。偶然だが39は最終生産品(1996)で、こちらは最初期生産品となっており、ピントレバーの形の差とは別に外見にも微細な違いがある。そして興味深いことにはレンズ構成は同じとしてもコーティングに違いがあり、写りにも少しの差がある。「カメラ談義」で採り上げるときに詳しく差異は知らせよう。まったくの偶然で、ズミクロン35/7枚玉の最初の型と最終型を所有していることに不思議を感じ、ますますの愛着を感じている。カナダ/E39。

ズミクロン35mmF2/7枚玉の新旧。左がフードを着けた最終型の1996年製、右が最初期型の1979年製。各部に微妙な差異がある。新レンズはこの夏に友人に譲った(他のレンズと交換)。大きい声では言えないが、2003.2にまたしても別の7枚玉が戻ってきた(カナダ/1987=タイプとしては左のレンズと同じであるがコーティングはより青みが強い)。動機は義理と人情だが、不思議な巡り会いのレンズとなる(後玉に傷がありすぐに返品したものも含めて5本目!)。 その甲斐あってか今度のレンズは、見かけはともかく極めてシャープな私好みの7枚玉であった。

11.ズミクロン35mmF2 C 1993年  3本目の7枚玉である。3本を比べてみると(1979−1996の時代差がある)結論はほとんど変わらないのである。80年代ライカレンズも手作り的なレンズではなくなり、良くも悪くもマスプロ化したのだろう。70年代までのバラツキ加減とは雲泥の差がある。古い時代の8位玉は云うに及ばず、6枚玉でも何本試しても「違っている」のであった。E39/ドイツ/1979−1997*

広角専用フード/12504を着けてみたの図。やはり少し頭でっかちか?クローム仕上げは真鍮製のため重い。軽快に使うなら軽合金製の黒モデルを薦めたい。このシルバーレンズも友人に先日譲った・・・これも含め一部のレンズが高騰しており、同じレンズを何本も持つのを忌避することにしたのだ。7枚玉は好きなレンズなので新旧各バージョン3本持っていたが、結局一番古いレンズが残った=この時代(1980年代)以降レンズの個体差が少なくなり、どれもほぼ同じ性能を持っていることが分かった。

このレンズが友人から戻ってきた(2007.3)。また7枚玉が2本になった。

Mレンズ第三世代のレンズの最初期(1979)レンズが3本そろった。どうということはないのだけれど、デザインが初期型のみあとのレンズと異なり、特にピントレバーはそれまでの、そしてこれ以後の二股ではなく扇形の独特なデザインである。使いにくいと言うわけではないが、ユーザーには好まれず2年ほどで第二世代と同じ意匠に戻った。写りは初期はどれもピント重視の硬い傾向があり、あとの時代の方がややマイルド(当然軟らかいというほどではない)になっている。発売は、開始はどれも1979年だが、28mmは1993年、35mmは1997年、50mmは1994年(外装の変更のみと言われているが私は信じていない)に次世代のレンズ=現行品に代わっている。現在は大きく見るとライカレンズは第四世代と言えるが、どれも魅力・実力ともに満足できるものばかりで、第一世代と第四世代のごく一部のレンズを除いて持ち出すときの選択に迷いが出る。もちろん迷ったときは「新しい方」になる。

12. ズミクロン35mmF2ASPH b 1997 開放から5.6までは最高(他のレンズと比べて相対的に)だが、F8より絞るとやや落ちる。7枚玉に比べると軟らかく、かつボケ味も軟らかい(だが「わざとらしい」軟らかさとも感じる)。大きく重くなったため持ちづらい。M5とならバランスが取れる。非球面レンズの魔力は新しい「味」を作りつつある。「カメラ談義」収録。ドイツ/E39/1997−。

M2と。デザインは名レンズ7枚玉と同じだが、ひとまわり以上大きい。軽い方のブラックレンズでも相当なものだ。全般に最新レンズは大きくなる傾向がある。エコガラス採用のせいだろうか。

絞りを開けた低コントラスト条件下の撮影でも細かいところまでよく写る。倉敷にて。

うしろのレンズはズマロン35mmF2.8とカラースコパー35mmF2.5Cである。このレンズはやや大きく重いと感じるだろう。フードは純正の角形フードではなく、50mmレンズと共用の12538と35mm専用の12504である。

13.ズミルックス35mmF1.4ASPH B 1994年  とうとう私の元にやって来た。前々から興味はあったのだが値段が高くて、しかも中古が出にくいレンズだったため、テストもままならず今日まで日が過ぎた。これもひょんなことから箱付の新同品が前に置かれた。実にグラマーで美しいレンズである/ライカマニアを自負するならぜひ持つべきレンズである。E46/ドイツ*

フードが固定リングなしの初期型である。1994年製であるが使用痕はなく、デッドストック品であろう。ここに落ち着くならハナっからこれにしておけば良かったとなるのだろうか?少し大きいのが唯一の欠点と思われる。テストの結果ズミクロン35ASPHと比べて特段にいいとは思われない。むしろそっくりな描写だと感じられる。優秀なレンズであることは認めるが、すでにズミクロンを持っている人には勧められない(個性の異なる旧ズミルックス球面タイプが良かろう)=私も今回の導入は見送った。1段明るい以外はあまりにもズミクロンと似ていると思われるからで、裏腹だがまだ持っていない人には勧められる=ズミクロンと変わらぬ高性能で1段明るいことが理由である。

14. ズミルックス35mmF1.4 b 1972 浅絞りではホヤホヤであるが、5.6−8にし、軟らかなトーンのものを撮ると絶妙である。ミステリアスなレンズである。ただし使いたい人は徹底して癖を読みとらないとひどい目に合うこととなる・・・覚悟しよう。中間色の再現性はズミクロン8枚玉によく似ている。薄曇りの日に固いフィルムで撮ると良い。しかも自然を・・・。私の持つMレンズの中では最も「ライカイエロー」な色が出る。私のテストでは評判とは異なり、曇り日でのコダクロームとの相性は悪い(この点ズミクロン35の8枚玉とは異なる)。カナダ/12504フードを介してシリーズ7フィルター/1961−1995(これも長年の間に幾つかのバリエーションがあり、外見や構造だけではなく写りにも違いがある)。

舞鶴海技大学校のキャンパスにて。建物もキャンパスもヨーロッパ的だ。向こうは東舞鶴湾、その向こうは大浦半島。曇り日にウエットな描写、当たり前だが「当たり前」に撮るのは難しい。いいレンズだ。ズミルックスは暗いところと言うより特別な状況にとでも言っておこう。絞り1段の差だけならフィルム感度を上げるか、シャッター速度を一段落とせばいいだけである。

M6に取りつける。全般に評判の良い(私もそう思っていた)スリット型フードだが、どうも効果的とは言えないし、扱いやすいとも言えないと思うようになってきた。ズミクロン35mm/7-ASPHの箱形フードの方がバランスが良さそうだ・・・ただしズミルックスには着けられない。

ズミルックス35mmF1.4チタン (球面レンズ) ずいぶん少なくて実物を見た人は少ないだろう。M6チタンボディと同時期に発売されたものだが、値段がやや高かったのと、すぐに非球面ズミルックスが出たためあまり売れなかったようだ。あるいは旧タイプレンズにありがちなことで、アスフェリカルに切り替わる前に在庫処分的にごく少量の生産をしたのだろうか(チタンはコーティングである)。以前は趣味が悪いと思っていたが、今見ると美しいレンズだ。ただしこの画像は友人のもので私のレンズはノーマルである。

ズミルックス35mmF1.4初期型を借りた...F1.4-2はホヤホヤで使い物にならなかった。姿は美しいが後期型にすぐ代わったのも頷ける。ただしこのレンズのために弁護しておくと、私の厳しめの「基準」による評価で厳密性を重んじなければ実用にはなる(...要するに趣味には使えるが仕事では使えない)。もちろん絞れば問題はなくなる。

15. ズマロン35mmF3.5L c 1950 開放では周辺は崩れるが中央はしっかりしている。絞りによる描写の変化はある。古いタイプのレンズのなかではデザインがもっとも洗練されていると思う。「カメラ談義」収録。ドイツ/A36/1946−1960。

アクセサリーを種々使って変身したズマロン(およびニッコール35mmF2.5)...自分で買っておいて、今までどこのメーカーか分からなかったが、読者の要請から調べてみた。フードはどこでもあるが、アダプターリング(A36-E39)は国産のNNC製であった。

つい最近純正のフードを手に入れた。こういうアクセサリーがライカ/国産ともに非常に高価なのである。つまり純正にこだわる必要はないと云っておこう。

当麻寺東大門より門前を望む(2003.11)。晴れると逆光に気をつけるべきだが、このような場合はピントは来る(絞りはF8)。年月は異なるが同じ場所、同じ構成のレンズ=同じか違うか?

Leica III b に取りつけた。やはり納まりがいい。バウハウス等によって世界をリードしていた頃のドイツ工業デザインの成果。

16. ズマロン35mmF3.5(M3) c 1957 Lマウントと同じレンズ構成なのだが、Mマウントの方が描写が硬く、シャープ感がある。鏡胴の差か、或いはマイナーチェンジがあるのか?眼鏡付は携行に不便だが案外使いやすい。M3にはこれかズマロン2.8を使う。「カメラ談義」収録。ドイツ/E39/1954−1960。

当麻寺門前町(2000.11)。右の茶店の前には同じ車が止まっている。

ヘキサーRFに。このような使い方はファインダー倍率の加減で勧められないが、使用上の差し障りはないと言っていい。大切なことはライカ世界が、なおも生きていることの証ということである。

悪くないデザインだ。単純な性能比較ならズマロン35mmはF3.5の方が上だろう。

17. ズマロン35mmF2.8 c 1966 レンズによるバラツキが多いようである。私はズマロンはF3.5の方が絵が優れていると考えている。浅絞りには甘さがあり、絞るといい(8−11)。使い方を考える必要あり。「カメラ談義」収録。ドイツ/E39/1958−1974。

右がズマロン35mmF2.8。美しいレンズである。左はキヤノン35mmF2.8、同時期のレンズだが、国産も悪くない(少しキヤノンは縦につぶれたようなデザインである)。

近所のため池にて。コントラストは低いが、キチンと撮れば忠実な描写だと言える。ただし、あまり今風な写りを期待してはならない。

18. ウルトロン35mmF1.7L c 1999  デザインは垢抜けないが、文句なく良いレンズ。開放から安心して使えるが、深度が浅いので正確なピント合わせを心掛けよう。ターレットの彫りが浅く、使用感はライカレンズに劣後する。E39。

ウルトロン35mmF1.7+カラーヘリアー75mmF2.5 いい映像をたたき出す。ウルトロン35mmには純正のフードを外すと、どうしたものかライカのE39用のフック式のフード(12585.12504その他)がぴったり取りつく。コシナの純正より効果はあるだろうし、格好は断然良くなる(ライカ広場のBBSに書いてあったことを参考にさせていただいた)。

カラースコパー35/50mm用のフードを試しにつける。ネジ径は同じだが深さが異なり、最後までねじ込めない。しかしキチンとした位置に取りつけると安定する。ケラれもなく随分スッキリとした=オリジナルのカラースコパーにつけるとせっかくのコンパクトさが損なわれるので、こういう使い方も悪くない。

M6に取りつけた。ライカのボディには少し大きいようだ。使い勝手はやはりあとひとまわりコンパクトであってほしい。ライカ系のE39標準フードがぴったり合う。

氷見の佐々波漁港にて。線の細い綺麗な描写である。

19. カラースコパー35mmF2.5L Pタイプ p 2000 少し暗い以外はウルトロンより良いかも知れない。コンパクトで使いやすくもある。値段を見て欲しい!専用フードが出たので使うとよい。E43。

安原一式に取りつけた。このレンズは多少安造りなところもあるが、性能・コンセプトともに私の求めるものであり、これが製造をやめて1万円も高くなった(P-IIとなった)ことに残念さを感じる。P-IIそのものは別の意味で好ましいレンズだが、オリジナルPは一眼レフからの入門用レンズとして最適なレンズだった。安価で小型、安定した性能、そしてLマウントなのでボディの選択肢も広い・・・等々。

気象条件は悪いが申し分のない描写である。京都/久美浜にて。CとPの鏡胴の違いによる撮影結果に差はない。

京都駅伊勢丹にて。P-IIで撮影。コントラストは高くクリアな描写だが決してドライではない。ピントの合った部分と外れた部分の描写に落差があり、これが雰囲気を作っているのだろう。解像力そのものはウルトロンが上だ。

カラースコパー35mmにP-IIが加わった。従来のPより2mm短くなっただけだが、仕上げに高級感があり、なかなかいいだろう。それにしても同じレンズ構成で1万円も高くなるとは?性能は同じでもピントレバーがライカに多いふたまた式になり、絞り環が旧ズミルックス35mmと同じデザインで使い勝手は格段に良くなった。薄いレンズが欲しいのでバョネット式のフードは未購入・・・取りあえず国産35mmレンズでは今のところ一番のお奨めである。39mm径。

20. カラースコパー35mmF2.5L Cタイプ b 2000 Pタイプより更にコンパクトで好ましい。ピントレバーがようやく付いた・・・オモチャみたいなものだが効果はある。ピントの合ったところと外れたところの差がくっきりとしている(たぶん非点格差が小さいのだろう)。私はPとCではこちらが好みである。つまりデザインに独自性(SS25、CS21も含め)が感じられるのである。E39。

バルナックライカ(DIII)に取りつけてみる。小型なのでなんとかバランスがとれる。つまり最近のレンズは大きすぎて、バルナックボディにはたとえLマウントであっても前下がりのバランスの悪さがあるのだ。

専用フードを着けてみた。せっかくのコンパクトさがスポイルされるが、逆光対策の効果は大きいだろう。これはCS50mmF2.5と兼用。

ズミクロン35mmF2−7枚玉+カラースコパー35mmF2.5P+カラースコパー35mmF2.5C : いかにカラースコパーのCタイプが小さいか分かる(これでフード込みの大きさ)。Lマウント時代のズマロンやエルマーのサイズだ。これで良い性能が出せるのである。コシナ自身も含めてコンパクトなレンズの設計を望みたい。一般論として新型になるほどレンズは大きく重くなっているように思われる(望遠系は別)。

21. キャノンセレナー35mmF3.5L c 1950−51の短命レンズで主として輸出に回ったようである(これもfeet表示)。エルマー35mmF3.5やニッコール35mmF3.5と同じテッサータイプの広角だが、このなかでは少し絞ると一番良い。浅絞り時は周辺が極端に悪くなるので最低F5.6にはしておきたい。「カメラ談義」収録。A36(レンズ内枠20mm)。

M6に。これだけ小さく薄くなる=これで簡単にポケットにはいる。性能的には不満もあるが、このコンパクトさで使用頻度はキヤノンの35mmの中では最も高い。絞り環は真鍮の地金が見えている。綺麗な個体があったらもう1本欲しいとすら思っている。

右がセレナー、左はズマロン35mmF3.5L・・・とにかく小さくて良い。

南山城・蟹満寺にて。少し絞るとキチンと写る。F8には絞りたい。

2本目のセレナー。これも運命か?

2011.9.23 明日香で撮影…セレナーもLeicaM9で蘇った。この程度の大きさでは分からないが、オリジナル画像ではレンズの持つ性能を100%発揮してシャープさと軟らかさを合わせ持った好ましい描写となった。LeicaM9で新しいレンズは当然にチャンと写り、古いレンズが蘇る効果が嬉しい…他のデジタルカメラ(ルミックスGF-2やソニーNEX−5、フジX100、リコーGXRなど)と一緒に持ち出すとLeicaM9を使いにくく、M9はそれだけ持って行くのがいい(交換レンズも持たず)。

下の39(elmer 3.5cmF3.5)と同じ雨の日にテストしたら、解像力は勝っているのに寝ぼけた絵となった。見るとレンズに曇りが出ていて霧がかかったようになったのである。長く使わないとこんなことになる…OHに出すことにした。

22. キャノン35mmF3.2L c 1951−1955 生産期間5年に満たない短命レンズだが(2.8と交代)、性能的にはかえって2.8より優れている部分がある。姿が美しい。28mmF3.5と同じデザイン。E34またはA36。

M4−Pに=レンズとフードの大きさが同じぐらい。逆光対策は必須だろうが、せっかくのコンパクトさがスポイルされている。これは現行レンズでも大なり小なりあることだが、新しいレンズは比較的逆光に強いため、あえてフードを着けずに使うことも多い。

シリーズ6フィルターを挟んでフードを取りつける。この時代はよくあったスタイルである。私は最近のねじ込みフィルターより好きなのだが・・・メーカーは生産を止めつつある。

和歌山/海南市の港町にて。どうだろう、キチンと写っている。ボディはキヤノン7。

23.キャノン35mmF1.8 p 1956−1962 年代はF1.5とF2の間である。これで全てのキャノンLの35mmレンズを手にした。どれをとってもその時代のRFレンズとして、最高級(最高とは言わない)の性能を持っており、国産ライカマウントレンズの中では相対的に見て最も優れた性質を持っていると思う。大量に生産されたため、比較的安価で入手もし易い。E40。

キヤノン7と。キヤノンボディは今から見ると扱いやすいとは言えないが、7と7Sは別格で、消えたのが惜しいボディである。

キヤノンのLレンズとしては少し変わったデザインである。これを改良してF2となり、完成された性能を得た。このレンズもコンパクトで使いやすい良いレンズである。

24. キャノン35mmF2.8L(タイプ1と2) c 1952−1963 F3.2と合わせ素晴らしい描写である。低コントラスト・高解像力の典型で、線の細さは自己陶酔的ですらある。最近タイプ2(1957年から)を入手したが、基本は違わないとしても逆光特性や絞り開放では2が好成績である。多少の改良はなされているようだ。「カメラ談義」収録。E34またはA36。タイプ2はE40。

M7に取りつける。フードはセレナーのねじ込みタイプとした(カブセ式が本当だが、こちらが使いやすい)。レンズ本体が小さいので多少バランスが悪い。しかしピントレバーや絞り環の配置がいいため見た目よりは使いやすいだろう。

キヤノン35mmF2.8、綺麗なレンズである。

☆Leica M Monochrome用の仕込み…シリーズVIフィルターの使えるCANONレンズ(これは35mmF2.8)…昔買ったレンズにシリーズVI用のフードとフィルターセット(Y1/Y2/YA3/R)が付いていたのである(デッドストック品)。20年ぶりに日の目を見た(^_^)v

キヤノン7につけているのがタイプ2。レンズエレメントは同じなのに鏡胴はずいぶん大きくなった。

25.キャノン35mmF2L b 1962−1967(外見は変わらないが、1963年に少しレンズ設計に手直しがあったようである) 同年代のズミクロン35(8枚玉後期−6枚玉)と良い勝負をする。描写は明らかに当時のライカよりモダンである・・・ただしボケ味に要注意、収差による渦巻き型のボケがでる=F4以上に絞った方が良いと云える。E40。

キヤノン7に取りつけた。同時代の組み合わせである。ボディに比してレンズが小さいと感じられる。当時としてはモダンなレンズと当時としてもクラシックなボディと(7SとてセレンをCdsに代えただけのボディだ)・・・キヤノンRFが国内において敵なしとなったにもかかわらず、そしてライカよりも高い可能性が秘められていたにもかかわらず急速に力を失っていた秘密がここにある。キヤノンは当時の最新の技術を投入して、レンズに見合うモダンな「キヤノン8」を出すべきであっただろう(開発は進行していた)。

東住吉区百済地区にて。充分な解像力と重厚感を持っている。

26. キャノン35mmF1.5L c 1958−1971 解像力だけなら同時代のズミルックス35より上である。逆光時のフレア・ゴーストは惜しいところである。ややマゼンタがかかる。完全にキャノンの特性のレンズ。「カメラ談義」収録。E48。

M5と。フードを取りつけると更に堂々としている。このレンズは思い入れも含めてとても好きだ。

ズミルックス35mmF1.4(左)とキャノン35mmF1.5。どちらもミステリアスな深い秘密を持ったレンズである。キャノンは私の持った最初のライカ系レンズである。うんと若い頃、CLと組み合わせて京都や奈良の町を歩いた・・・奈良の町をブラブラ歩いていて、猿沢の池の畔の映画館で「幸せの黄色いハンカチ」が封切られていた・・・撮影を忘れて映画をみた記憶が蘇ってくる。

M4−2に。やはり大柄なレンズだ。フードを付けると絞り環の操作がしにくい。

27.UCヘキサノン35mmF2 B 2001 限定1000本で出されたレンズ。旧ヘキサー付属のレンズと基本的に同じで、少しの改良がなされている。私は旧ヘキサーを持っており、このレンズの良さは認識しているので買うことになった。本当は限定の最初のバージョン/白いレンズの方がデザインとしては好みなのだが、今回人に勧められてこれにした(いつまでたっても旧限定レンズが出ない)。最近のレンズとしては非常にコンパクトなので使いやすくもあるだろう。大袈裟なフードはコンパクトさをスポイルするが、デザイン的な愛嬌というものだ・・・これを着けるとズミクロンの6枚玉角無し+12585フードにそっくりになる。実用的にはズミクロンと違いもっと浅いフードで充分である・・・私はフォクトレンダー=コシナのカラースコパー35mmF2.5Pタイプ用の黒いコンパクトなフードを使っている(径が43Φなので適合)。やはり最近の大柄なレンズより、少し昔の小柄なレンズがライカには合っていると思うし、使用頻度が増えようというものだ。画質については旧ヘキサーのレンズに比べて発色が少し派手になっているようで、旧の方が渋い描写である。絞りが開いた状態では旧の方がピントが整っており(UCレンズの浅絞りには要注意、思わぬ所でアウトフォーカスとなる)、色はともかくとして線が細く好ましい。少し絞ると(F4−5.6)新の方がコントラストも高く色乗りもいいため俄然良くなる。あとはどちらが好みかによるだろう。E43。*

京都/宮津市栗田にて。F5.6まで絞ると良好。悪天候下でもキチンと写る。条件が良ければ色乗りは格段にいい(ただしピントの細かさと言う点ではオリジナルヘキサノンが上だろう)。

UCヘキサノン35mmF2、フォクトレンダーカラースコパーP用のフードを取りつけた。ノーマルのフードは格好いいが、実用的にはこれで充分。

28. コムラー35mmF2.8L b 1958−65 回転ヘリコイド。浅絞りでは相当に甘いが、絞ると実用の範囲になる。まだ収差が残っているのだろう(F3.5モデルより良くない=しかし色味は良好)。絞りやピントリングの操作感が悪く使いにくい。同社135mmと同じようなデザインの造りだが、35mmがどうしたものか仕上げが悪い。

見た目はオーソドックスだが、操作感が良くない...これはオーバーホールにより完全に解消されるとは思えないが、一度試してみるべきか。写りはどう考えてもF3.5レンズの方がいいと思う。

29. ジュピター35mmF2.8L b 1979  かなり年代や個体による差があるようだが、実用性充分。ツァイスのコピーレンズと云われている。レンズ後端が突出しているのでM5.CLには使用不可。その他Lマウントボディ(例えばキャノンP)でも使えないものがある。Tナンバーはやや低く、実質的には1/3絞りほど暗い。アルミシルバーと黒がある。40.5mm径。「カメラ談義」収録。

M4に。ラッパ型の変わった形のレンズだが、ソビエトレンズの中では最も認められているものだろう。実際少しの当たりはずれはあるものの、性能的には悪くないと言える(もちろんコストのことを考えに入れてと言うただし書きは要る)。

白と黒、何十年も基本デザインは変わっていない。ただし詳細に見るとコーティングやレンズの曲率(つまり硝材が異なる)などに変更がある。写りにも多少の進展が認めらる。白は本当はやや艶のない仕上げだが自分でポリッシュ仕上げにしてみた。

これまでのカメラでは測光がままならなかったがリコーGXRの登場で解決した(測光だけではなくライブで見られるのは便利だ)…換算値52mm。

30. ニッコール35mmF2.5L c 1952−1960(鏡胴の材質や仕様の変更が少なくとも2度あった=これは初期タイプ) 同年代のLレンズでは最も良好なレンズの1本である。平坦性の良さが特徴である。小さすぎて使いにくい面もある。Mライカに装着するとピントレバーがフレームセレクターに当たりやすい。34.5mm径だが、国産のエルマー用のA36フード・フィルターが使用可。

Lは左・・・カブセ式のフィルターが取りつけてある。右はSである・・・同じレンズとは思えない大きさの差である。

大阪中央郵便局前にて。このレンズも少し絞れば(F5.6程度)周辺まで優秀なレンズである。ニコノス用としてごく最近まで生き残ったレンズ(改良されながらも50年間生産された=撮影用レンズとしては最長不倒だろう)である。

Leica DIII とニッコール。時代差は20年以上あるが、ニコンのライカデザインに忠実な製作と相まって、とてもしっくりと納まっている=DIIIにはニッコールを最多用している。最近趣味としてカメラをぶらさげて散歩写真を撮ることが楽しい。

31. ニッコール35mmF3.5L p 1956 このレンズの後期のレンズ。なんと4枚絞り(初期型は絞り羽根が多いらしい)・・・浅絞りと絞り込んだ時で絵が激変する。癖玉と云えよう。スタイルはF2.5と同じでズマロン35mmF3.5Lとも似ている。「カメラ談義」収録。E34.5/1948−1960(これも鏡胴に3−4タイプあり、これは3つめのもの)。*

これは後期の黒帯型、初期はオールクローム仕上げである。色々のことが重なり惜譲した。

32.シュタインハイル・オルソチグマット35mmF4.5L C 1945−50? 4枚構成のいわゆるトポゴンタイプである。ピントはいいし歪曲もないが、現代的な見方からだと甚だしく周辺の光量が落ちる。F11程度まで絞らないと充分な光量に達しない。ただし暗いながらほぼ開放からピントは全面に来る。どうしたものかズミタールと同じフィルター36.5Φ特殊ねじ。 

キヤノン7+シュタインハイル・オルソチグマット35mm。非常に小さな玉のレンズである。距離環のレバーがふたつ付いているのが特徴になっている。

シュタインハイル35mmとコムラー35mm。どちらも回転ヘリコイド、鏡胴先端が絞りリングと同じ構造である。色味はコムラーが黄色いが、それ以外は似た傾向の絵になる。レンズ構成は全く異なるが面白いものだ。 かろうじてこの画像でも見えるが、このシュタインハイルのマウント基部には「Made in Germany US Zone」と刻印されており、占領下の西ドイツ(ミュンヘン)で生産されたことが分かる(このレンズはあまり知られていないがレアなものである)。

33.コムラー35mmF3.5 P  77.123.と共に1950年代の「安い」ライカマウントのレンズの代表格。しかしランタンガラスを用いた意欲作で、1957−1962年にかけて作られたヒット商品である。当時の価格は¥9800だった(同定格の他社レンズの半額程度)。ヘリコイドリングは黒塗装である。4群5枚の変形ガウスタイプレンズ。写真のフード/ファインダーは純正である。こういう安いレンズも面白い。テストの結果、確かにキヤノンやニコンのLレンズに比べると周辺は1段落ちるが、中央部は文句なしに及第点で、F5.6−8あたりは、ズミルックス35の球面タイプと似た軽い絵を作る(色味はやはり黄色い)。E34またはS6...シリーズ6推奨(後期型は口径が大きくなった)。

キヤノンPに。カメラに取りつけるとサマになってくる。レンズ本体はかなり小さい方だろう。

フードをとった状態...タナー35mmとそっくりになった。

天王寺区清水谷公園にて。黄色っぽい絵を作るが、思ったよりピントは悪くない。歪曲もほぼ目立たない。

34.ズミクロン35mmF2 「角なし6枚玉」 1977年モデル 1973−1979年生産=6枚玉自体は1969−79年だが、角なしになったのは1970年説と1973年説がある。ライカシリアルナンバーから見ると前者となり、カタログ等々の実際的な傍証から見ると後者となるようである。 海外の文献や実際の流通量から見ると後者が妥当なようである。前者の説が正しいとすれば角付きは1−2年しか生産していなかったことになり、モデルチェンジのタイミングが早すぎ、市場に角付きの数が多すぎると思われる。また友人が正規品の角付きの新品を1976年に買ったこともハッキリしており、これもデッドストックと見るべきか、並行生産していたと見るべきか甚だ不透明なレンズである。正規品の場合「カメラのナニワ」ぐらいの大手カメラ店では、安易にデッドストック品を売るはずがないのである。E39

もうひとつの6枚玉(「角なし」1977年モデル)を手に入れた。最近の値崩れで元々人気の低かったレンズが更に手頃な価格になったのである。角(つの)がなくなっただけではなく上と比べても分かるように、レンズの構成が変わった=中は分からないが前玉だけを見ても、前へ出て口径も大きくなっている(フィルター口径は同じ39mm)。ただし角がなくなったこととレンズ構成が変わったのが同時かどうかは未確認。同時と言う人が多いが何とも言えない=6枚玉はバリエーションが多いので不明なことが多い。

M4-2に。目立たなくて人気もないレンズだが、シンプルでコンパクト、いいレンズだと思う。初期型である「角付き」よりマイルドな描写だと感じられる。

35.コシナ=フォクトレンダー ノクトン35mmF1.2  ずいぶん以前から迷っていたレンズだったが、コシナがツアイス系にシフトするなか、ついに購入となった。コシナ=フォクトレンダーレンズはこれですべて持っていることになった。別に集めているのではない。もうこれだけのレンズ、銀塩用レンズとして最高の規格をクリアしたレンズとしてたぶん歴史に残るものだと思っている。たぶんノクチルックスと同じように現場で使うことはないだろうが、ハイスピードレンズの最高峰と言えるだろう。デジタルの場合は無理をするよりボディ側のゲインを上げる方がコスト/リスクともにカバーしやすいだろう。さよならコシナ=フォクトレンダー。 E52 / 490g !

文句なしに重くて大きい。別売のフードを取りつけると更に巨大になる。ブラックペイントや各動作部の精度や仕上げも含めてコシナ=フォクトレンダーの技術者の集大成として製作されたレンズだ...もう不必要だと思うが性能テストはこれから。

M6TTLに取りつけた。ボクシーそのものだ。35mmとしては珍しくファインダー視野がかなりケラれる。何と純正ボディたるベッサR2の場合、距離計窓が隠れてしまい測距不能となる(もちろん説明書にも書いてある)。

36.コシナ・ツアイス 35mmF2.8ZM  久しぶりにフィルムカメラ用の新レンズ導入。コシナは採算性よりレンズ製作技術の洗練と伝習のために開発・生産を続けているような気がする。ツアイスブランドとフォクトレンダーブランドの両方で発表を続けている(ブランドの区別の規準がどうなっているのかは不明)。 ツアイス系が高価で美しい・・・性能もやや良さそうである。ともあれ今後を期待したい。行きがかり上、少なくともライカマウントレンズについてはすべてを渉猟する覚悟だ。

35mmについて、F2(ツアイス)やF1.4(フォクトレンダー)ではなく、これにしたのは安定的な性能を期待できるのとコンパクトなことである・・・どうせ全部入手するとしても順序がある。 E43mmΦ

天橋立にて「股のぞき」のある江尻側から阿蘇海を航行する連絡船に乗って橋立に戻る…毎回そうだがカモメが餌を求めて飛んでくる(カモメの餌としてカッパエビセンを\100で売っている)…船はオープンデッキのタイプとクローズドタイプが交互に動いており、少し寒いがぜひオープンタイプに乗って欲しい。 LeicaM9+biogon35mmF2.8

37.コシナ=フォクトレンダー ノクトン35mmF1.4SC  世間一般の動向にさからって、次々にフィルムカメラ用のレンズを開発しているコシナの意欲に賛辞を送りたい。さまざまな工業製品が短小軽薄路線の中で簡単な方向に流れて、技術は最高のレベルから少しづつ落ちてきている(ただし安価で簡単なモノも必要)中で、開発技術の継承を計っているように考えている。私の親戚(船の設計者)がIHIで造船不況のためにリストラ寸前にまで行き、何とか残ったあと後進が育たず、69歳の今も現役で活躍しているのも、技術継承の世代間の断絶があるからである。

当然ながら性能は「最高レベル」だ。コシナ・ツアイス系も含めて、何年か前にコシナが最初に出した「スナップショットスコパー25mm」から長くて短い道のりだったと思う。

M6に取りつけたデザインは旧ズミルックス35mmに酷似している。バランスはとてもいい。コシナ・ツアイス系のレンズより、見た目も使用感も良好な気がする。

琵琶湖に行った最後の訪問地、唐崎の弁天さん。なるべく最後はここに寄って、近くの「鶴喜」でしっぽく蕎麦を食べるのである。比叡の向こうに陽が沈んで、空に飛行機雲、しばらくベンチに座って故事を思う…天気が良ければベンチから琵琶湖中が見わたせる。そういう場所なのである。 LeicaM9+ノクトン35mmF1.4=すばらしく良いレンズだ。

38.summarit35mmF2.5  LeicaM9の導入でにわかに最新レンズへの関心が高まった…最近のライカレンズの価格は現実的ではなく(エルメス傘下になって定価が上がったことと並行品への圧力が高まり、以前より安価に手に入らなくなった)SUMMARITシリーズとelmarit28mmF2.8/asphやelmar90mmF4沈胴macroなどが「まだ安い」と言うべきか? 写りはこれからだ…なんとなくコシナ・フォクトレンダーCS35mmF2.5を思い出すが深くは追求しない。

ねじ込みメタルフードはキチンと定位置に止まるか不安だったが大丈夫…しかし止まりが緩くすぐに動いてしまうことに注意(^_^;)

39.エルマー35mmF3.5   ずいぶん以前に友人に譲ったコーテッドelmar 3.5cmF3.5(1946年モデル)を再度入手した…この3年越しの探索であった。コーティングがない個体が多いので(それにこのところ古いLeicaレンズが市場に少ない=相当に高いレンズならあるが)苦労したのである。

今回はひょんなことから友人が見つけてくれたレンズで(カメラ店の在庫)かなり綺麗な部類だ。L/Mリングや旧式のMレンズケースも付属していて(ただしリングは28mm用…)幸運だった。

帰ってきたelmar 3.5cmF3.5、これはコーテッドエルマー・elmar 3.5cmF3.5としては更に古い1946年製だ。老後の楽しみのようなレンズとしておこう=Leica M Monochromeでも試したい。

雨上がりに撮影。F8まで絞らないとシャンとした絵にならないが、いい雰囲気の写真ができあがる。このような天候だとAWBで青味が出ない…不思議なLeica社のファームアップだ。

40.COSINA=ZEISS BIOGON T*35mm/F2  この度不思議な縁で手に入った…いいレンズだとは分かっていたのだがLeicaの時代が去って「まぁそのうちに…」と思っているうちにコシナのLeicaマウントレンズがだんだん無くなっていく事態になり「欲しいなー」と思うと寄ってくる…いつ使うのか?は不明なれどLeica-M9/Leica M Monochrome/Leica-MEの3台体制が周辺機器やソフトウェアも含めて整ってきたら(+私の気持ち)使っていくつもりだ。 E43

フードは50mmと共用だが、それも在庫僅少となっているため購入(^_-)b  今回は白レンズとした。COSINA=ZEISS distagon 35mm F2.8 ZMと比べると絞りで1段明るいだけだが、だいぶ長くなった。

41.新ウルトロン35mmF1.7  価格はうんと高くなったが趣味性は増した=レンズ単体で見るとカッコいいがボディに付けるとバランスが今ひとつだろう。ともあれこのレンズは実用性を越えた存在となる(コレクション?)。

 コシナ・フォクトレンダーの最新Mマウントレンズ。先に発売された新ノクトン50mmF1.5と同様、古いVoigtlanderの意匠を踏襲させて、おそらくコシナの旧レンズを少し改良したものだろう。35mmはまだテストしていないが50mmでは旧の青く転びやすい色特性が改善された。

 テストの結果、やはり旧レンズでの青さは改善されていた。レンズ性能もLeica MEで試した限りではフィルムレンズ風の滑らかな描写で、絞りF2.8からほとんど使えて、F4で周辺まで良好となった。操作感も上々で、あるとすれば問題はsummicron 35mmF2と比べての「重さ・大きさ」だけだろう。

F5.6

42.Summarit 35mmF2.4ASPH  F2.5モデルからどう変わったのか…外見以外ではコーティングが明らかに異なる程度で今のところそれ以上は不明。デザインは旧モデルは発売当時のLeica基準の39mm径で、新レンズは46mm径でやや寸胴なLeica-Qなどのレンズと似ている。刻まれた文字が旧は古いLeicaフォントで(これはわざと古いスタイルにした)新は角角の現代Leicaのデジタルフォントだ。

 発表の時から狙っていたレンズだが高価になりすぎて「リスト」のままだったが、友人の情報で、かなり信頼性のある店から特価で2本出ているとのことで即決した。「箱スレ・未開封」との説明だったが、実際はその逆で箱はキレイで開封品だった=もちろん未使用の正規品で、何らかの事情で開けてしまったのだろう。これから使ってみて評価したい…旧と変わっていないという意見も多いが、それには懐疑的で過去の経緯を鑑みるとLeicaの場合「変わっていない」と言ったときは変わっていることが多いのである…近くはLeica MEとM9の違いだ(実際変わっているし、例のCCDセンサー不良交換の後先でも変化がある)。

予想どおり絞り開放から隅までピントが来る…旧との比較はできていないがデジタル時代のレンズでありsummicron 35mmF2を凌いでいる。

フードとフードキャップについて…角形フードに見えるが前から見ると真円で、深めのフードキャップをかぶせることになる。遮光性・格納性で旧より良好。Leica-Qのレンズと同じ意匠だ。

新旧Summarit 35mmASPH…デザインは好みの分かれるところだ=しかしレンズとしての合理性は新レンズが高く使いやすい。質感も「やや良い」だろう…価格もインフレ率を考えても高い。新旧のレンズの比較をしたがやはり異なっていた…解像力=絞り開放からF2.8までは新が明らかに良く(旧は周辺に甘さがある)それ以上はまったく同じだ。コーティングや硝材の改良で少し明るく、それでいて少しシャープ感が出ているように思われる。色味や像の雰囲気はまったく同じだ…

43.7Artisans 35mmF2

50mmF1.1に次いでの7Artisansレンズの購入だ。50mmは残存収差が大きすぎて使いにくかった(もっと言うと非実用)が、あれから1年半経って、また性懲りもなく購入した。やはり収差を残して個性的な絵造りが売り物だ(ゾナータイプと説明されている)。性能の良いレンズは何本も持っているので個性的なレンズの方が良いのである…性能だけならコシナの35mmF2.5-IIが良いと断言する。

レンズ構成図が元箱にあった。なるほど今風ではないレンズ構成だ(コシナ・Zeiss Biogon 35mmF2.8 ZMとよく似ており、ゾナーではなくビオゴンタイプと書くべきだ)。

説明文にはあえて収差を残して個性的な絵が出てくるような書き方だが=先に買った7Artisans 50mmF1.1は実用性のほとんどないレンズだった=しかし、このレンズはうまくコントロールされていて、F2-2.8では中央部のピントはシャープ、しかし周辺に行くにしたがって収差によるフレアがあり(ピントの芯はあり、流れているのではない)、F4になると収差ボケによるフレアは緩和され、あとは絞るに従い周辺までピントが良くなる。F2-4の間のピントの芯のあるソフトフォーカスの絵と、F4から上の絞りによる普通の絵の両方を楽しめる面白いレンズと結論できる(使える)。性能重視なら迷わずコシナを選ぶべきだが、筆者と同様「もう持っている」人には勧められるレンズだ。これはF2.8のjpeg撮って出し(この大きさでも周辺光量落ちとソフト感が分かる)だが、RAWを丁寧に現像すればもっと良くなるだろう。

44.Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 MC VM "MapCamera 25th"  2019.10

消費増税前の取得レンズ第三弾。早くから予約していたVoigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 MC VM "MapCamera 25th"が発売日にやって来た。テストは明日…と言ってもすでにノーマルモデルは持っているので(ただしSCタイプ)結果は分かっている。春にII型が出ているので、旧型の余ったエレメントを特注鏡胴(真鍮にクロームメッキ梨地仕上げ)に入れたレンズだ。他には縮緬仕上げのフードぐらいで、実用的にはノーマルと大差ないが、コレクション用としては良好な仕上げである。250本限定…シリアルナンバーは少し変わっていて"M31"としか彫られていない(桁数の多い番号はレンズにも箱にも書かれていない)。Mはマップの意味だろうし、31は31/250のことだろう。

*追補:友人からシリアル番号について教えてもらった。MAPCAMERA NOKTON Classicの文字から"M"A"P"N"C"を頭文字に各々1-50まで番号が振られているそうで、このレンズはMの31/50と言うことになる。

Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 MC VM "MapCamera 25th"のテスト=Leica M9 ベタ曇り AWB 絞り開放F1.4 RAW現像 等倍1/2切り出し。

 中央部、曇っている割にはよく写っている。収差フレアの大きいSummiluxよりずっと良好で実用の範囲内だ。しかし7枚玉と比べると、同じF2で撮っても格段にsummicron 35mmF2/7が良い(シャープネス・コントラスト共に)。絞ると少しずつ画質は良くなるが、絞っても7枚玉との差が開いていくような結果であった。 

 絞り開放での周辺部、完全に崩れている(Summilux よりはいい)ピントの芯はあるようで、F4ぐらいまで絞ると問題はなくなる。と言うことはフィールドでは問題なしという答だろう。ただしsummicron 35mmF2/7が開放から周辺部も使えるので、この手のレンズの使い道は考えさせられる=つまり感度を上げられるデジタルカメラでは絞り1段分の明るさの違いは感度アップで克服されるからである。「記録写真家」である筆者としてはそのような結論だが、古式レンズと同様、使い道としては他にもあるだろう。深度外れのボケと収差ボケを利用する(案外、収差ボケも汚くない)ような方法である。

ノーマルモデル。2008年発売当時、68,000円で買っている。ボディはLeica M6の最初期型。

45.TTartisan 35mmF2 限定ステンレス仕上げ  2022.1

久しぶりの35mmレンズ。

43のTTartisan 35mmF2ブラックと同じレンズ…仕上げが上はマットブラック(+シルバー梨地仕上げ)で、この度限定でステンレス仕上げのものが出たため、少しの期待(改良)を持って購入した…同じ正規品ながら価格は3,000円ぐらい下がっている。「ステンレス」と言ってもステンレス製ではなく(軽い)従来素材のポリッシュ仕上げだろうと推測される。そして期待どおり少しレンズは改良されていて、個体差ではない画質の少しの向上と逆光耐性の向上が見られた(コーティングがまったく異なる)。フードはなぜか純正品がなく、これは外品である。

46.Voigtlander NOKTON35mmF1.4-II & Voigtlander ULTRON35mmF2-ASPH  2022.12

Voigtlander NOKTON35mmF1.4-II…これは古希祝いに10月に買ったものだ。上の44の旧型に比べると画質は良くなっているが、それほどの代わり映えはしない。やはり35mmF1.5が本命なのか?

右はVoigtlander ULTRON28mmF2-ASPHが良かったので、形も大きさもソックリの35mmを入手…フードは28mmと共通(Voigtlander CS35mmF2.5PIIとも互換)である=上のようなクラシックデザインとスリット型の二種発売されている。写りはLeica Mを意識して作られているため安心して使える。ヘリコイドカムのズレも当然に解消されている。

47.LIGHT LENS LAB M35mm f/2 LLL-35M  998本生産の限定レンズの1本だ。2023.1.4

 summicron 35mmF2/1st(俗に「八枚玉」)の硝材やコーティングも含めて忠実に再現(コピー)した中国製のレンズで、価格も13万円前後と高いが、仕上げを見るとそれだけのことはある。画質テストはこれからだが、おそらく経年変化した60年前の本物の八枚玉より好成績であろう。


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