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フジフィルム TX−1(そしてTX−2へ)
             


試みとしての和製ライカ

今回は近年のライカブームの中でなされた試みのひとつとしてのカメラ「TX−1」について語ろう。
日本のライカブームは、円高による相対的なライカの価格の下落が大きな要因となってはいるが、それは他の外国製カメラも同じ条件のはずで、それはブームを誘発した要因であったとしても本質は別のところにある。ひとつには他の外国メーカーは、それまでに日本のメーカーに席巻された結果、良い、或いは一般的な製品を失っており、プロや一部のマニア向けのものがほとんどに(無論、大衆的なカメラは各国に存在しているが、コストや品質において、もはや日本製品の敵ではなかった)なってしまっていた事がある。もうひとつ大事なことは、ライカが大昔から最高のものとして名を馳せていたこと、RF機の最後の砦として稀少的な価値があったことがあり、国産カメラの高級化と円高による割安感で多くの人に買いやすくなったのだろう。私の友人の父上が終戦直後、VFをしかもズマリット付きで買ったら、小さな家一軒分ぐらいの値段だった事を考えると、割安感どころか捨て値と感じるだろう。49歳の私とて似たようなもので、若い頃ライカに標準付きの価格で、国産一眼レフボディ二台とレンズ28mm−135mmの間で5−6本は買えたと思う。私がM6+ズミクロン50を買ったのも、昔買えなかったものを今買う。俗に言う「江戸のかたきを長崎でうつ」と言うことである。そのような訳で銀塩カメラが極限まで発達し、デジタルに移行しようという今、みんなが仇を打っているのかも知れない。不景気による陰りはあるものの隠れたブームはまだまだ続くだろう。
ブームのなか、国産各社から限定版のLマウントレンズが出たり、ヘキサーRF、ベッサ系などが開発されているが、そのルーツは実はコンパクトカメラにあると思う。コンパクトカメラは以前から大衆的なカメラとしての地位を完全に確立しており、つまりコンパクト・簡単な操作で、かなり確実に写真が撮れることが人気の秘密であろう。そのような中、1984/2のコンタックスTの発売以来、各社がいわゆる高級コンパクトを開発し始めた。私もそうだが、かなりの数のプロ・アマ問わず関心を示しただろう。私はコンパクトとは言い難いが初代のヘキサーを発売後すぐに購入した。大袈裟な(私はその頃キャノンT−90を使っていた)カメラではそぐわない局面で、コンパクトカメラの簡単で単純な機能が欲しく、性能はより良いものを望んだのである。ヘキサーの性能は期待に充分応える素晴らしいものであった。そうなるとレンズの交換化やズーム化を期待するのが人情である。そのような状況の中、コンタックスG−1.2を経てTX−1が1998年発売されたのである。G−1も出たときに購入したが、使った人なら了解済みの欠点=AFが合いにくい、マニュアルで合わせても確実性がない。これは致命的であった。レンズはすこぶる良好であったのに惜しい。これを使う層の能力を考えると、AFでなくとも良いのではないかとの(勿論、私もそう=AFに値打ちを感じていたのではなく、実のところ操作性の良いライカ的なマシンを望んでいたのである)考え方が出てくるのも自明のことであろう。そしてTX−1を経てヘキサーRFにつながっていき、そこでついにライカと完全に重なったのである。
つまりここで言いたいのは、ライカブームの影に日本の高性能コンパクトカメラの影響があり、潜在的な要望があった上での結果だろうということである。ライカ自身は昔とそうは変わらない機械的な作りなのだから・・・M7への期待もヘキサーRFそのものの様なカメラだったのだろう(結果は少し裏切られM6Eとでも云うべきカメラだった)。国産のRF機の成功の結果は、MまたはLマウントの高級RF機となるのだが(ライカと相互に乗り入れられる。そして過去から存在する膨大なライカ系の世界を継承できる。これは決定的なことと言えよう)コンタックスG、フジTXはあえてそれに独自の規格で挑戦したのである。GはAF機なので多少別の位置づけとなろうが、現況では経営的には不利であろう。どんなに性能をあげても(当然コスト高になる)レンズの交換できるコンパクトカメラの域を出ないことによるからである。その意味ではリコーGRやミノルタTCに軍配が上がりそうである。ただしG−2に関してはブームとなったり、今後どんどん発展していくことはないだろうが、今この手のカメラはこれしかないという実状を考えると生き残れる可能性も充分ある。TX−1はハッセルとの提携の話題が先行して評価が未だ定まっていないカメラであるが、ある種の必然性=これでなくてはならない=を感じて購入した。そしてそれには二つほどの意味が見えてきた。以下解説してみよう。

まずひとつめにライカとの機能・性能上の差別化、要するに良くなっている点と異なっている点を考えてみよう。まずフルパノラマ。今までも特殊なカメラや中判のパノラマホルダーの装着によって可能だったが、現実には使いにくく、合理的なものではなかった。これがレバー操作ひとつで簡単におこなえるようになり、24X36mmのノーマルサイズと混在するのに何の制約もないことは重要である。しかもパノラマをカバーするレンズ・ボディとしては驚異的にコンパクトに収まっており、少なくともライカとフジの645RF機の中間ぐらいの実用的な大きさである。最初はパノラマ撮影など特殊なものだと(今まで経験がない)思っていたが、使ってみると結構便利なものだと解ってきた。つまり切り替えで標準レンズが45mmと25mmの2焦点レンズと同じ画角が得られ、スーパーワイドが必要な時の多くの場合、天地方向より、水平方向に必要性があるため、その縦横比に慣れると(自分も、それを見る人も)合理性さえ感じられるのである。望遠も含めパノラマで撮ると映画のシネマスコープのようで悪くない。表現が適切でないかも知れないが、劇的な画面効果も得られよう。勿論ただただワイドの面白さだけではだめで、それなりの新しい撮影技術も必要であろう(実は私も90mmでのパノラマ撮影は、まだ手に負えない)。和製ライカとの評価もあるが、それならマウントが異なるためヘキサーRFやベッサR2にかなわない。むしろノーマルサイズも撮れるパノラマカメラという位置づけであろう。そしてパノラマという要素を除くと一年数ヶ月後に出た、ヘキサーRFとほぼ同じ機能を備えており、それが現状のライカ系カメラの理想型である点、先見性があったと言えよう。そしてもうひとつの必然性が浮かんでくる。新旧のライカ系のレンズの多くでは当然ながらイメージサークルが小さく、パノラマ撮影が不可能であり、独自のレンズの必然性があったのである。
ふたつめはあくまで夢の話である。TX−1のパンフレット(ただし初期のもの。今は異なっているかも知れない)の中に「35mm判カメラ用のコンパクトなマウント径を保ちながら、6X4.5cm判サイズをカバーする広いイメージサークルとプロレベルの高解像力を獲得しています・・・」というくだりが書いてあり、フジが過去からレンジファインダー中判機を継続して生産していたこと、更に世界の中判カメラメーカーであるハッセルが提携している、他に競合機がない。などの理由でこのレンズを使った中判のRF機の登場への期待である。フジの現行645機のゴールドやブラックバージョンが出たり、値段がズーム機以外下がりつつあったりして(ついにズーム機以外は生産を中止したようである/ブロニカRFも出た)、密かに期待をつのらせているこの頃である。中判カメラについての私の解説にも書いてあるとおり、フィールドカメラとしては二眼レフか(これは新規の開発は期待薄)TX−1を645化したRF機が最適なのである。
この夢が現実となるとレンズ2本に(そうなったら無理して30mmも買おう)ボディ2台(TX−1と645)を持てばほとんどのフィールドワークをこなせることになる。案外ライカイーターはライカの遺産に依存しているヘキサーやベッサではなく、フジかも知れない。後述しているとおり性能的にも満足できる内容で、今回新潟での取材で川にカメラを持ち込んだときすぐ肯定的な結論がでた。M6、ヘキサーRF、TX−1を用意したが、汀の条件の悪い場所での撮影に理想的なカメラである事が解ったのである。かなり近寄って撮るため望遠は重要ではなく、45mmのノーマルとパノラマの切り替えでほとんど撮れるのである。しかもノーマルの24−28mmクラスのレンズと違って主たる被写体が小さくなりすぎないのである。つまりスーパーワイドの画角ながら距離感の誇張が少なく、自然に広い視野の写真が撮れると言うことである。昔から疑問に思っていたことだが、人間の目はかなり広角なのにそれに見合う画角のレンズで撮るとパースペクティブがぜんぜん違い、感じたとおりに撮れないことがある。写真とはレンズの目をとおしてする表現で、目で見たとおりでなくて当たり前と思い直して今日まで撮影してきたのだが、TX−1によってすこし考えが変わってきた。勿論人の目がパノラマになっているというのではない。ワイドであるにもかかわらず、自然な距離感と深度が得られるということと、新しい画角効果が得られたと言うことなのである。なんとなくこのカメラがメインカメラになる可能性(勿論フジフィルムが645ボディを出すことが前提だが)を想像している。いや期待していると云っておこう。

さて次にボディの詳細について述べよう。ボディ単体で720gとM6より150g、ライカと比べ小型のレンズ1本分程度重く、サイズもW166XH82XD51と高さと奥行き(グリップ部の出っ張りがあるので本体は同じようなもの)で少し、幅で3cmほど大きい。容積だとふた回り大きい計算になるのだが、持つと高さが少し大きい程度なので違和感があるほどではない。まず一眼レフの大きいのと小さいのとの差程度と考えてよい。グリップ部の位置や大きさ・材質(私は好みで木のグリップに替えたが、グリップという機能のみならノーマルの硬質ゴム製が良い)が適切なため、右手のホールド感は良好である。ライカは両手でホールドするのが原則だが、このカメラは右手でガッチリ確保して、左指でピントを合わせ、横長のボディの左が下がることを左手でサポートし、レリーズすることとなる。それでもやはりレンズにはピントレバーが欲しい。現在のRF用国産レンズの多くが一眼レフと同じピントリングの仕組みとなっているのは不思議だ。

ボディの仕上げはコンタックスG系とほとんど同じのっぺりとしたチタン仕上げで、質は良好だが独自性は感じられない。ここは異なった仕上げを考えて欲しかった。ハッセルモデルのX−PANのブラックの方が良いと思う。ただしこれも使っていると慣れて特に気になる訳ではない。デザイン処理の洗練という点ではGよりあか抜けているだろう。さてまずボディの上面右端の電源を入れる。最近の常套手段となった「S.C.セルフ」のスイッチを兼ねるダイアルである。同軸で少し形状が悪く回しづらいが露出の補正ダイアルもある。あまり使わないとはいうものの、もう少し使い勝手が良いといいのだが・・・。全体としてはヘキサーRFより操作系のデザイン・質感は優れていると思う。すぐ隣に液晶のフィルムカウンターがありなんの変哲もない。しかし表示はパノラマとノーマルの混在があるため残数カウンターとなる。ついでながらフィルムを入れるとプレリワインドして、シャッターを切るたびにパトローネに巻き込んでいく。センサーで残りの長さを感知し、パノラマとノーマルであと何枚撮れるかを表示するのである。これもコンパクトカメラの成果だが合理的と言えよう。これには面白いテストがあって、最後あたりになるとPだとあと1枚となってるのに、ノーマルだとあと3枚になることがあるのである。自動で終わりになるので、この場合はノーマルで一枚撮り、パノラマで一枚撮るとワンカット余計に撮れることになる。パノラマ時、最後で画面が切れないようにややゆとりを持って設定されているのだろう。カタログによると、コマ間を入れて全体だと36枚撮りでパノラマで20枚撮れる。つまり二枚で一枚というような単純な計算では判らないのである。シャッターボタンも普通のタッチで、半押しでAEロックがかかる。ヘキサーRFではAEとAEロックを分けているがTXの方式で充分である。余計なものを付けると煩雑さや故障の原因となるのである。その横にシャッターダイアルがあり、B.1−1000.AEと手堅い方式である。そしてほぼレンズ中心の光軸上にホットシューがある。このホットシューは専用ストロボを持たないため接点はひとつである。私はこの方がいい。最近は多くのカメラで専用の接点を持ち、当然にその規格や機能は各社異なる。従って他社のストロボを付けると誤作動や故障の原因になることがある。G用のストロボが小さく、その割に光量もあるためM6TTL用に買おうとすると、カメラ屋さんいわく「だめです。誤作動します」とのことである。私はナショナルの汎用オートストロボを大小二台と旧ヘキサー用のストロボですべて撮っている。勿論スタジオ用は古い2400Kのコメットだが・・・。この手のカメラには専用のストロボは不要で、手持ち・補助光なしが原則であろう。緊急避難の時だけ簡単なストロボがあればそれでよいと思う。

次にファインダー横にパノラマとノーマルの切り替えレバーがある。接眼部でフレームを切り替える都合でこのような場所にあるのだろうが、ロックがかかっていることと相まって少し操作がしにくい。ファインダーを覗くと明らかにM6やヘキサーRFより暗い。画質自体はシャープながらファインダー倍率が低く暗いせいで慣れるまでは、特に少し暗くなると見づらいだろう。そして専用のレンズを使うのだからもう少し倍率を上げて、フレームを視野ギリギリまで持っていっても良かったと思うのだがどうだろう。距離計窓部分もやや小さく、しかも中心からすこしずれた場所にあるため、最初は違和感があるがこれは克服できる性質のことである。距離計自身はライカと同等の性能を持っている。ブライトフレームはもう少し細く、しかもくっきりとして欲しかったが贅沢は言えない。こんなところだろう。それにしてもベッサRのファインダーは良い。1/2以下の価格を思うと、この安さは考えさせられることである。さてボディ前面にISO感度の設定ダイアルがある。大変高級感のあるデザインで好感が持てるが、コストに跳ね返っていることを考えるとここまで立派にせずとも、少し前の普通のカメラに設定されていた、シャッターダイアルと同軸でダイアルを少し持ち上げて回す方式で良かったと思う。このダイアルは機能は違っていてもG−2のデザインそっくりで独自性が感じられない。

さて撮影である。絞り優先AEなのでまずレンズの絞り環を回す。リングが固い(45.90共に)。リングのターレットの彫りが浅いせいもあるが少し操作しにくい。レンズフードはバヨネットで少しチャチだが問題ない。ただし45mmと90mmが共用というのは納得できない。いくら性能が良くなったとは言っても、逆光時のハレ切りは必要だと思う。一般論で云うと逆光時の画質低下は想像以上で、いままでも純正に良いフードがなければ外品のフードを付けることにしている。このレンズはパノラマとあってそうはいかず、90mm用の深いフードを発売して欲しいものだ。さて回り道になったが、次にピントリングを回す。使い込めばもう少し軟らかくなるのだろうが、やはり少し固く、ゴムターレットも浅いのでピント合わせが迅速にできない。重ねて主張するが短焦点のレンズにはライカ式のピントレバーが必要である。そして無骨な滑りにくいターレットも。さらに迅速な撮影のためには、多少動きに節度に欠けてもレンズの操作系は軽いほうが良いだろう。ピントを合わせ(ピント自体は実に快適に合う)シャッター半押しで露出OKの赤いダイオードが光る。がシャッター値が表示されない!他にも色々問題点を述べているが、工夫と慣れで解決できるものばかりである。しかしこれは致命的な欠点である。今回の新潟での撮影でもスローシャッターに行きすぎブレてしまったことがあった。マニュアル撮影だと多くの場合シャッター速度が優先となり、遅くなるときも覚悟を決めて切るため問題は起こらないが、機械の露出制御に頼るAE機こそシャッターや絞りの表示は重要なのである。このカメラにも裏蓋の液晶にシャッター速度が表示されるのだが、その都度ファインダーから目を離すなど、そんな悠長なことはできない。ISOダイアルやメイン液晶にかけるコストをファインダー内表示にかけられなかったかと残念である。色々批判点を書いてはいるが、これ以外の欠点は機能・性能が明らかに上回っており、重ねて残念である。こうなると迅速な撮影が必要な時はヘキサーRFということになる(当然ライカM6等は問題外である)。マニュアル撮影では一般的な発光ダイオードによる定点式で破綻はない。さてシャッターをいよいよ切ってみる。ヘキサーRFと同じく「プツン」「クィーン」とが連続した音でショックも小さく良好である。実際のブレは重い分TX−1が良い結果がでた。大きな慣性質量が動いているとは思えない軽さである。シャッター速度は1/2000まで欲しいが、やはりこのようなパイオニア的なカメラに贅沢はいえない。露出の値は同じ中央部重点測光のヘキサーと比べると1/2−1/3段程度明るく適正値と言えよう(ヘキサーはややアンダーにあがる)。私は使用しないがAEB機構も備えており露出制御については問題ない。

次にレンズの描写を見てみよう。どちらのレンズも開放値F4と無理をしておらず、ノーマル24X36mmでは絞り開放から充分な画質がある。F5.6まではパノラマ時、多少周辺部の線が太くコントラストも落ちるがそれを越えると均一に近くなる。コントラストは高いがコシナ=フォクトレンダーや現在のライカよりは低く、ヘキサノンKMレンズと同じく使いやすいレンズと言えよう。ただし45mmパノラマでは周辺光量が落ちるので意識しておいた方がよいだろう。色味はやや青みがあり青空や水は綺麗に写るが、色飽和度の高いフィルム(E100VSやベルビアなど)を使うときには注意が必要(独特のフジの絵)。そしてレンズ性能とは関係ないがRF機ということも相まってパノラマ時水平が傾きやすいので注意しよう。超広角の30mmに水準器が付いているのは当然のことである。総合的にはは35mm判専用のレンズ(例えばライカやキャノン)とまったく遜色なく、ますます中判(6X4.5)RFカメラへの期待が高まる。
たぶんGシリーズと同じく営業的(商売)には成功しないだろうが、私には理想に近い意欲的なカメラと賛辞を送りたい。ライカとマウントを共用し、適応戦略を図るのもよし、ライカを越えるものを異なるシステムで挑戦するのもよし。そのようにして戦後の35mmのカメラ史は展開してきたのだから。

追補 1 フィルム現像について、フジでは長巻き仕上げを指定せよと云っているが、これだと保管性が悪く、カーリングも大きくなる。そこで堀内カラー(大阪)に尋ねると、スリーブ仕上げでも手でカットしてポジシートに入れているそうで、そのまま現像に出しても適当に切って、納めてくれるので何の問題もない。

追補 2 今日(2000/9/21)タムロンのHPで、ブロニカRF645の発表を見た。私としては意外なことだったが良いことである。全体としてマミヤ6や7の645版のようであり、少し疑問を感じるが(コンパクト化・フィールドでの簡便さにはフォーカルプレーンの方が理想的と考えている)、選択肢が増えたこととフジやマミヤ他のレンズ交換式RF645の開発のスピードが上がることは大歓迎である。

発売後3年で早くも値崩れが起こった。それに乗じたわけではないが、私も65/45mm(35mm判換算で約40/28mmの画角)のレンズと共に購入した。2005年現在での中判カメラはこれのみ使用している。小型で扱いやすいのと、比較的画質が安定しているためである。残念ながら、いい性能・コンセプトのカメラなのに銀塩カメラの終焉とともに「お終い」である。

追補 3 ヘキサーRFでも起こったことだが、このカメラでも距離計像に縦ズレが出るようなった。勿論調整によりすぐに直るのだがライカではめったに起こらないことで、改めてライカの見識を見直した。不思議なことだが昔の国産RF機の距離計は性能は悪いがこのようなズレはあまり経験していない。やはり隆盛期は取り組みが違っていたのだろう。

越後・荒川にて。春マス漁の季節である。若手の川漁師「小川忠」氏、サクラマスを1本あげた。これ1本で1−2万円もするほど貴重で美味しい。ほとんど地元消費で全国の人達に味わって貰えないのが残念である。  TX45mmレンズxRAにて(パノラマはFスキャンできない)

なんとか知人のスキャナーでパノラマの作例が載せられた。琵琶湖大橋の守山側からの撮影。EB−2にて。

TX-1x30mmF4.5。久し振りのグラフ誌の仕事のために買った。なんと22万円の定価である(40/90mmは5万円程度)。確かにこのコンパクトさで6X6のイメージサークルを確保しているのだから、かなり難しい設計だっただろう。これでTXレンズ用の645RFカメラの登場は不可欠となった。写りは周辺はやはり無理があり、絞りはF8以上が必要である。それと劇的な周辺光量の落ち込みがある。これら以外は作りの良さといい操作性といい最高の部類だろう。外付けファインダーは採光窓や水準器が付いていて大袈裟だが見えの良さはたいへん良好。今やルポ用にTX-1を常用している...TX-2もいつか購入するだろう。なにせこのマウントはライカL&Mのようにユニヴァーサルマウントではないため、ボディは2台どうしても必要になる。

30mmレンズでの撮影。F5.6で撮影=周辺光量の低下はかなりなものである(最低でもF8、できればF11には絞りたい)。しかし35mm換算17mmのレンズとしては極めてシャープだ。

30mmF5.6xRA  琵琶湖の近江八幡にて。

TX-2がとうとうやって来た。パノラマカメラの出動機会が増えているので、1台だけでは不安があり、しばらくTX−1の中古も探したのだが時間切れ、秋のフィールドワークのシーズンに入る前に購入した。一見するとマイナーチェンジで、それにしては値上がりが大きいと感じていたが、少し中身の感じが異なるように思われた。これから使ってカタログでの改良以外にどこが変わったのか報告したい。  

参考文献 : 「アサヒカメラ」1998/12 P223−234 『ニューフェイス診断室』
      「アサヒカメラ」1998/11 『フジTX−1大研究』
      「毎日ムック `99カメラ買物情報」 『個性派カメラの登場』


                                                          
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