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コシナ=フォクトレンダー ベッサフレックス
   

案外使える軽い一眼レフ

今回は久しぶりの一眼レフをとり上げたい。1998年以来レンジファインダーカメラばかりで撮影してきたので、古いカメラは持っていても撮影の機会がなかったのである。強いて主力一眼レフカメラと言うと「コンタックスRTS-III」となり、たまに使おうとすると(最後にフィールドへ持ち出したのは2000年夏)腕も肩も疲れ果ててしまうのである。いつの間にか気軽に野外へ持ち出せないぐらいにカメラは重くて大きいものになってしまった(機能は満載)。それにライカ系統の便利なカメラを使い始めると余計に負担に気が重くなるのである。 

今回のベッサフレックスを昨年店で気軽に持ってみると「案外」良さそうな気がした。使い勝手や性能はベッサR2を使っているので「まんざら知らない間柄ではない」と気分が楽になる。 実際問題としてライカだけで撮影していると「たまに」必要な望遠撮影などに一眼レフがあれば...と思うこともあった。あくまでサブカメラとして軽くてコンパクトで必要最低限の機能を持ったものが欲しかったのである。レンズを生かしてコンタックスS2なんかも考えた(不当に高価なので)がそれも踏み切れなかった。 ここで別にペンタックスの古いシステムが残っていることを思い出し、さっそくボディを購入、ついでにライカマウントでなかなかの実力を示したインダスタール50mmF3.5/M42、SMCタクマー24mmF3.5を購入した。すでにペンタSV+タクマー50mmF1.8、フジカST605-II+フジノン50mmF2.2は友人達にあげてしまっていたので「標準レンズ」となったのだが、インダスタールはいただけない(性能はいい)。自動絞りでない上に回転ヘリコイド、そして先っちょにクリックのない絞り環...実用性ゼロである。このボディの出現でM42レンズ(これがライカマウントレンズ以上にユニバーサルマウントなのである=安価で古今東西寄りどり見どり!)のコレクションの楽しみが増えた向きもあるが、置物とするならともかくとして一眼レフ用のレンズはRFと異なり考えて選ぶべきだろう。でも往年のシャハトやシュタインハイル、東独ツァイス、共産圏レンズ、国産の「進んだ」M42レンズの各種...考えただけでも気分が高揚することも確かだ。

さてさてサブカメラとしてどう使うのか? 

軽くて簡単。これにつきる。私も持っている往年の名機「アサヒペンタックスSP」とほとんど同じ使い方である。ボディは総金属製(R2と同じ)といっても軽金属主体でとても軽く、表面の仕上げが(R2と同じ)シボが飛んでいてサラサラした軽い手触りである。あまりに軽くて重い昔のレンズを着けると前下がりのバランスとなるため、あえてR2と共用のトリガーワインダーを取りつけている。これで非常にホールディングが向上した(つまりノーマルではバランスが良くない)...私は使用時に大きな24mm/135mmレンズ主体で撮るため。 そしてこれを着けると縦吊りができるようになるため、携行性も良くなった=もちろんボディにストラップをつければ横吊りでも問題なく使える...つまりM5やトプコン・スーパーDM、フジカの中判RF機など(これらの説明にもそのように書かれていた)にも見られるように、重いレンズをつけて携行するときは縦吊りが便利なのである。撮るときは必ずしも勝手が良くないが、あくまでサブなので撮るより吊ったままの時間が長いため、撮りやすい事より運びやすい方が優先される、奇妙な選択となる。 初めに見たときに目立つのは、やはりニコンFのような先の尖ったペンタカバーで、なかなか格好にインパクトがある...後日発売されたシルバーボディはトプコンRE系に似せた台形のペンタカバーとなった(標準レンズもついでにトプコールのレプリカを出した=ここまで来ると面白くて私も思わず買いそうになって、すんでのことで思いとどまった)。「Bessaflex」のロゴやロゴプレートの意匠もよく計算されている。外見も操作系も一眼レフであることを除けばベッサR2と同じである。

ベッサシリーズに共通の見慣れた景色である。右肩のフォクトレンダーのロゴが常に論議を呼んでいる。コシナはいい商売をしたが、どうやらマニアはあまり好まない人が多いようだ。私は何とも思わないし(ライカもとっくにLeitzではなくなっているし、ローライもFRANKE&HEIDECKEでなくなって久しい)、選択肢が多いのはおおいに結構だと思っている。もちろん偉そうなことは言えない=友人達と同じく私も結果としてどちらも持つことになっているのである。 フィルム装填は巻き戻しクランクを引っ張り上げると「ポン!」と裏蓋が開く(ロックもなく少し不安)。立ち上がる金属製のクランクが少しチャチだが、機能・強度に問題はない。フィルムを装填し、右の巻き上げスプールにフィルムの先を差し込む。この時(この手の機構のカメラならどれでも)フィルム先端を「ピッ!」と折り曲げて引っ掛けるように差し込むと空巻きが防止できる。あとは少し巻き上げてパーフォレーションをスプロケットに噛ませたのちに蓋を閉めて、2カットの空撮りで完了だ。巻き上げレバーはガラガラと巻上がり、最後にカタンと巻どまる。動きにギクシャク感はあるものの巻き上げトルクなどに不満はない(スムーズではないが小刻み巻き上げも可)。 もうひとつここで注意点=アイピースに取りつけるようにホットシュー付のアクセサリーシューが別売されている。これは上からスライドさせてシュー側のピンでパチンと固定する仕組みなのだが、そのピンがプラスチック製の太さ1.5mmぐらいの頼りないもので、精度的にはキチンと作られていて撮影中に外れるようなことはないとしても、これを外すときにピンを折ってしまう可能性があることに注意をしよう(このピン以外は作りはいい=たぶんコシナのことゆえ、すぐに改良されるだろう)。巻き戻しは底にあるロック解除ボタンを押してクランクをグルグルと一生懸命回すのである。これも部品がチマチマしていて回しやすいとは言えないが、別段問題はない(要するに昔の安価なフルマニュアル一眼レフを想像すればいい)。フィルムの装填でもうひとつ注意すべきは、このボディはDX対応していないので、必ず巻き戻しクランク基部のダイアルで感度の設定を忘れないことである。

露出合わせの操作は絞り込み測光で、シャッター速度を決めた後、レンズマウント基部左のスイッチ(SWと彫ってある)を上に上げ、ファインダーを覗き、絞りリングを回して画面の左にある上から+緑丸−の表示が緑の点灯で合ったことになる。これはフィルムを巻いていても巻かなくても操作できる。そして同時に絞られて暗いので、スイッチを戻したあとピントを合わせる。ピントが先でも差し支えないが、絞り操作でヘリコイドが動くこともあるので私はこの順で操作する。しばしばだいたいを測っておいて、撮影時は厳密に測らずに標準値から勘で少しずらして撮影することもある。要するに面倒なこともあると言える。注意すべきは多くのカメラが開放測光であるため、シャッター半押しで絞り操作をするために、思わず絞り半押しをしてしまい、実際は違うためシャッターを落としてしまうことである。正直にいうと私も最初のフィルム1本のうち2カットシャッターを切ってしまった。露出計自体は中央部重点測光らしいが、値は正確な代わりやや神経質な動きをする。AEは敏速でないといけないが、マニュアル測光には昔のCds追針式の方が感覚的に合うようだ(これは時代遅れの世迷い言として聞き流して欲しい)。

ピント合わせは、ピント板中央部のスプリット・マイクロプリズム、まわりのマット面も充分明るくて特別な配慮は要らない。最近のアキュートマットの中にはキリキリしていて井戸の底に画像が貼り付いたような疲れるピント板のカメラもあるが、適当にだるくて軟らかいのには好感が持てる。倍率も視野率もこの手のカメラとしては悪くない。

シャッターを切るとかなり作動音は賑やかで、ミラーの振動もほどほどあるし、ブラックアウトの時間も長い。ここは廉価版と割り切る他はない。しかしメカニカルの縦走りコパルシャッター(B.1-1/2000 ...シンクロ1/125)は性能・安定性ともに信頼できる。必要かつ充分なシャッターだろうと思われる。

私のM42システム...レンズはSMCタクマー24mmF3.5/スーパータクマー35mmF3.5/インダスタール50mmF3.5/スーパータクマー135mmF3.5。あとベローズ100mmF4がある。タクマー系統のレンズしか取りあえず興味がなく、性能は定評通り今のレンズにも負けない(少し負けるが)...特に「M42最終型」の24mmは良好。ペンタSPに劣らずなかなかいいデザインだ(これも少し負けるが...それは仕方ない)。

これがベローズ100mmF4。これはレンズそのものはタクマー末期のものである。ビックリするぐらい近接ではシャープだ。しかし文献複写も今ではスキャナーかデジタルカメラである・・・この分野では一般撮影以上にデジタル処理が便利なのである。

2004年1月 嵐山にて。24mm、癖もなく、ごく自然に写り、逆光にも強い。このカメラかニコンF3(ノーマルボディ)にレンズ1−2本でなら、一眼レフでも肩がこらずに、しかも信頼感を持って撮影に行けそうである。もちろんライカをメインで持って。

なかなか凝った作りのホットシュー...これの強度が問題である。レンズは24mm。

*後日加筆修正とする・・・もう少し使い込まないと何とも言えない部分があるため。          N☆GY

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