TOP

「ライカL−Mマウントレンズ/2」 標準系 1 Mマウント 40mm-50mm

★LeicaM9購入を期して、ライカマウントレンズをデジタル時代に蘇らせる実験を開始した。随時テストしていくので参考とされたい。


1.ロッコールM40mmF2(CL用) b 1973 ついにCLのオリジナル標準レンズがやって来た。CLを買って25年目に初めて納まるべき所へ納まったことになる。フードも付いていてとても綺麗なレンズである・・・「放蕩息子の帰還」の気分。同時に見比べた、同じレンズとされているズミクロンC40mmとはデザインの細かな部分やコーティングに違いがあり、やはり別のレンズだと分かった(実写でも僅かにハイライトの色乗りに差があった=どちらかと言うとロッコールが好ましい...例によって僅かにLeicaは黄色い)。当然にレンズ構成が同じとされているCLE用とは鏡胴・レンズそのものに更に差があり、誰が見ても別物と分かる。E40.5/1973−1977。

尼崎市塚口の精機工業の工場内にて。現在は取り壊されてマンションになっている。こういう撮り方をするとパースが出て35mmレンズに近くなる。極めてシャープであるが、CLE用40mmと比べると意外にも「硬い」印象がある。同じ条件で撮ると、ややハイライトが綺麗ではない(あくまでもCLE用の40mmと比べての話)。

CL用(左)とCLE用(右)のロッコールM40mmF2。ほとんど同じだが微妙に異なる。仕上げはややCLE用がよく、マルチコートになったのが一番大きな実質的な差だろう。

2. ロッコールM40mmF2(CLE) b 1983 線の細い描写で平坦性も良好。CL.CLEのみに使うのは勿体ないが仕方がない。ライカではなくロッコールそのものの絵ができあがる。実際の取材にはCLEに取りつけての使用頻度は比較的高い。とにかくよく写るレンズなのである。 E40.5

非常にコンパクトで高性能である。メインレンズとして充分使える破綻のないレンズである...実はCLEのボディに付いてきたものと合わせ2本持っている(そして別にCL用のものが1本)。40mmのフードは限定ヘキサノン50mmF2.4沈胴のものである。これにローライ=コシナ・ゾナー40mmが加わり、ますますCLEの出動が増える。

越後荒川の川舟。適度にシャープで緻密さもある。絞り1段絞れば充分の画質が得られる。

3.ノクトン 40mmF1.4 S.C  2004.11 モノコート限定モデルだ。コーティングは確かに緑色のない、アンバー・パープル・マゼンタの「昔のレンズ」だ。どれも実際には昔のレンズに比べると色が濃くて(つまり反射率が低い)、それなりの配慮がなされているのだろう。レンズの仕上げはCS35mmF2.5P−IIとほとんど同じで、高級感はあるし、丈夫さもあるだろう=コシナ=フォクトレンダーの初期のレンズもこれでいっておけば良かったのに...たとえ1万円高くても納得は得られたように思われる。E43mm

写りはまだ詳しくは分からない。簡単なテストでは広告にあるとおり、開放ホヤホヤ、絞るとキリリ...確かに昔のレンズの味と言えよう。一般論としてはマルチコートのレギュラーレンズの方がいいと思う。私があえてマルチコートレンズにしなかったのは、ロッコールM40やコシナ=ローライ・ゾナー40で性能的には充分と考え、昔風の絵作りにいいかも知れないと思っただけで、それほどこだわったわけではない。

40mmフレームのあるCLEにつけると少し大袈裟だ。使用に差し支えがあるほどではないが、大きなフードを取りつけるとお手上げである。最初はえらく緩んだ昔風のレンズと思ったが、少し使っていると最初の印象よりも悪くはないことが分かる。今度モノコートは再生産されたらしい。ノーマルマルチコートのレンズより評判がいいのはどうしたものだろうか。

4.ノクチルックス50mmF1 b 1996 開放では平坦性に疑問が残るが、F2.8まで絞ると現行のズミクロンを2.8まで絞ったよりシャープ感はある。像面の平坦性が悪く(いわゆるデッコマヒッコマ)、開放でのピントの歩留まりが悪いため慎重に撮影することだ・・・ピントずらし技法。残念ながら熟練者か暗いところだけで必要なレンズである。2本試したが全く性質(性能ではない)が異なり、当たり外れのある「注意すべき」レンズである。外れると高い授業料となる・・・できたら中古をテストして買うのが良いだろう。一般論としてはハイスピードレンズはズミルックス50mmF1.4/フォクトレンダー=コシナ ノクトン50mmF1.5を奨めたい。カナダ/E60/1976−(前期型=細かな差異で3つある=から1994年に後期型なった)。

ノクティルックス50mmF1とCL。ボディよりレンズが大きい(読者はこのような組み合わせで使ってはいけない=絞り開放ではほとんどピントが合わない)。普通のライカでもノクチを現場で使うには相応の覚悟が必要だろう。絞るとかなりシャープなレンズなので、大きさ・重さを考えなけれぱ万能レンズかも知れない・・・しかし色乗りに独特のコッテリ感があり注意も必要(これはライカも認めている)。

M4−Pに取りつけても大きすぎて持ち歩きは難しい。性能はいいので惜しいが、フィールドではやっぱりズミクロンだろう。このレンズの使用はどうしても必要な時だけだろう=いままで数回だけだ。

5. ズミクロン5cmF2 c Mマウントだがシリアルナンバーリストでは1953年となっている。沈胴式。少し黄色いが評判どおりの描写である。非常に軟調(とは言っても甘いのではない、線は充分に細い)な特徴があり、持っていて良いレンズ。前玉が出ているのでフィルター取り付けには注意・・・フィルターによっては前玉と当たる。ケンコーの黒枠のライカ用フィルターはガラスが前面に付いているので問題なし・・・マルミのでも私のでは問題がないがギリギリである。横からの光でもフレアは出るので逆光時はフードが必要。ドイツ/E39/1954−1957。

M4−2に取りつけた。すばらしい機能美である。本当の理由は分からないが、M5/CL以外のMライカはすべて同じ意匠を基本にしており、結果として(バルナックライカも同じ)成功があった。基本設計の良さと、ブレない継続性と保守性に賛辞を贈りたい。

M7と沈胴ズミクロン。

このトロンとした軟らかさ・暖かみが私を安心させる...これでなかなかピントは細かいのだ。晴れた日の順光でなら使い勝手は悪くない。伊勢湾にて。

オールドファッションレンズ二態…造りの良さは現在のレンズとはまったく違うし、65年以上前のレンズとは思えない写りをする。コーティングが良くないので逆光には弱いが、それさえ気を付ければ現在のレンズとも充分渡りあえる性能だ。

6.ズミクロン50mmF2 c 1963 ズミクロンの第一世代の後期型。伝説の高解像力レンズ。デザイン・仕上げは最初期型のリジットの方が良さそうである。同じ第一世代と言ってもかなり描写は異なる(レンズ構成も異なる)。たくさんのズミクロンを俯瞰してみると第1世代はごく初期の型と後期に分かれ、一般には語られないが後期はふたつに分かれるようである。私は初期型のウェットな描写は好みである・・・このレンズの方がドライで湿気が感じられない(初期は黄色く、後期は青い)。少しヘリコイドに違和感があったが、グリスアップで完璧になった。ドイツ/E39/1958−1968(1960年頃に後期型になった)。

M4−2に取りつけた。銀/黒の組み合わせだが悪くない。ライカのレンズはバランスの良さも兼ね備えている。

飛鳥石舞台古墳にて。まず安心のできるしっとりとした描写だ 。キメは細かいがシャープさという点では現代のレンズには劣る...条件の良い時に使う方が無難である。

旧式のフードを買った。こんなものでも少しずつ安くなっていく。すばらしい仕上げの小物である。

友人の要請でLeica M Monochromeでテスト(薄曇り)。F2では少しユルいが、F2.8からピントはピシッと来るし、あと絞っていくとF8で周辺まで最良となる。伝説のレンズの面目躍如である…これなら現代のレンズとも完全に競合できる。

7. DRズミクロン50mmF2 c 1957 これは前期型。近接撮影ができるので便利。やや黄色いが線は細く好みである。操作性も良く、かつ全体に堅牢な印象で好ましい。「カメラ談義」収録。ドイツ/E39。

M2に取りつけた。この状態は接写時のみ見られる。

ズミクロン50mm6本。左から旧い順に・・・1953(外れ番号)年の沈胴ズミクロン、1957年のDRズミクロン(このあと後期型が増えた)、1963年の後期型リジットズミクロン、1969年の6枚玉ズミクロン、1993年のいわゆるカナダズミクロン(これはドイツだが=このあと「本物のカナダズミクロン」も加わった)、後列左が現行ズミクロン(レンズ構成は1993年物と同じ)、後列右は関係ない。どれも素晴らしいレンズである。これらもいずれきちんとした解説をしてみたい。

8.DRズミクロン50mmF2  C  初期型は以前から持っていたがこれは1962年製の後期型である。リジットズミクロンと同じで、初期が黄色っぽい絵になるのに対して青っぽい。次の世代ではナチュラルになる。ズミクロンの1stモデルには試行錯誤の結果であろうが幾つもの個性を持っている。単純なシャープさでは、どういうものか旧がいい(新も2本試したが同じ結果)。どちらにしても古すぎる1stバージョンの比較である。個体差や経年変化、メンテナンスの差など不確定要素が多すぎて断定的なことは言えない(違うことだけは確かだ)。E39/ドイツ/1956−1968(1960年前後に後期型になった)

後期型DRズミクロン50mmF2。フル装備するとなおさら美しい=しかし接写時以外は見られない姿である。

DR50/2ndで富山空港の撮影。神通川の河川敷にある珍しい空港だ。コントラストはあまり高くないが比較的ナチュラルな写りだろう。1stバージョンの場合はもう少し温調に写る(黄色味が強くなる)。

フードはマミヤCのものである。39/40/40.5Ф口径のレンズの外枠はどうしたものか、ほぼ同じでカブセ式のフードはたいてい取りつけられる。このレンズは構造的に純正のフードを着けると絞り環の操作が非常にし辛く、かと云って逆光に弱いのもライツライカの癖である。そこでこんなモノの登場となる。当然に遮光効果は絶大である。読者諸君も色々試してみるとよい。

M3に…久しぶりに取り出した(写した訳ではない)。

9.ズミクロン50mmF2 b 1969 知人から購入したズミクロンの第2世代の6枚玉ズミクロン50mmの最初期モデル。これもたいへん綺麗である。どこに30年もしまっておくのだろう?人気は低いが35mmの角付きズミクロンと同様、フィールドフラットでかなり良いと思う。評論家の意見と同様、大ぐくりに言うと第一世代と第三世代(現行品も同じレンズ構成)の中間的な特徴だろう。時間の経過を撮りうるレンズと云えようか?好みで云えば最も好きなズミクロンである。逆光時フレアは出るのでフードは必携。ドイツ/E39/1969−1979。

M4−2に。フードが大袈裟なので(これにも意味はある)大きく見えるが、レンズ自体は歴代ズミクロンで最も小型である。

ズミクロン50mmF2/6、沈胴ズミクロンを除いて最もコンパクトなズミクロン50である。同じ程度のこのバージョンが2本あるので、1本を友人に譲った。

近所の公園で。こんな所に標準点がある=概して私の町では三角点や古い道標、野地蔵なども大切に扱っているようだ。夕暮れ時の陰影のハッキリとした(それでいてコントラストは低い)光の雰囲気がよく出ている。ピントの合っているところと外れたところの「デッコマ・ヒッコマ」感が分かる。このような状況ではどうしてもフードをしないといけない...完全逆光だと結構フレアがでる。歴代ズミクロンの中で条件さえ良ければ最も好ましい絵を作ると思っている。

今度(2004/11)友人のところからズミクロン35/50mmの2ndバージョンがやって来た。一応これで2セットになったのだが、時代がそれほど違わないにもかかわらず、細かな部分で微妙に異なる。どちらも友人のレンズの方が綺麗で、こちらを使いたいと思っている。そもそも21/28/35/50/90/135mmと、どれも2ndバージョンの描写は好きだ...70年代のテイスト。

10.ズミクロン50mmF2 1980年製  3rdバージョンのレンズで現行品とも同じレンズ構成である。1979年の発売なので、おおむねその時点で「完成域」に達していたと思われる。極めてシャープで非の付けどころがない愛すべきカナディアンズミクロンである。しかし悪しき迷信と考えるが、ほとんどがカナダ製であるためか人気が今ひとつである。このレンズは珍しく当時のままのシュミット時代の箱とオリジナルフードが付いていた(プラスチックの平凡な12538だがLEITZ CANADA のレリーフがある)。E39/カナダ

黒くて構造が分かりにくいが、ピントはレバーで合わせ、コンパクトな割に操作性はいいことが分かるだろう。レンズの性質は初期型である黒の方が硬いシャープ感があり、新しいクロームの方が軟らかいように感じる(よく見るとレンズ構成は同じでもコーティングが異なり=つまりガラスも違う可能性が高い・・・白の末期型は現行品と同じような描写である)。このレンズもボディのM4−2と共にもっと評価されて良いと思われる。クロームはややレアであり、真鍮製で重いため勧められない(描写も現行品とほとんど同じ)。

舞鶴にて。なかなかいい。

Mレンズ第三世代のレンズの最初期(1979)レンズが3本そろった。どうということはないのだけれど、デザインが初期型のみあとのレンズと異なり、特にピントレバーはそれまでの、そしてこれ以後の二股ではなく扇形の独特なデザインである。使いにくいと言うわけではないが、ユーザーには好まれず2年ほどで第二世代と同じ意匠に戻った。写りは初期はどれもピント重視の硬い傾向があり、あとの時代の方がややマイルド(当然軟らかいというほどではない)になっている。発売は、開始はどれも1979年だが、28mmは1993年、35mmは1997年、50mmは1994年(外装の変更のみと言われているが私は信じていない)に次世代のレンズ=現行品に代わっている。現在は大きく見るとライカレンズは第四世代と言えるが、どれも魅力・実力ともに満足できるものばかりで、第一世代と第四世代のごく一部のレンズを除いて持ち出すときの選択に迷いが出る。もちろん迷ったときは「新しい方」になる。

11. ズミクロン50mmF2 c 1993 現行品のひとつ前のタイプ・・・レンズ構成は同じとなっているが、鏡胴の差かマイナーチェンジがあったのか描写は少し異なる・・・こちらが軟調。これはシルバーで半年程度作っただけなので、このタイプとしては珍しい。多くがカナダだがこれはドイツ/E39/1979−1994。

M3に。

富山県小川にて。ともかくよく写るレンズで、何も言うことはない。完成されたレンズと言えよう。

M5とズミクロン50mmF2の現行品と、同じレンズ構成のいわゆる「カナダズミクロン50mmF2」(これはドイツ製だが)。最近は50mmレンズに興味がある。広角・望遠レンズに比べると画質的にも一段上の性能である。

12. ズミクロン50mmF2 b 1998 現行品。同じレンズ構成だが多少の改良はされているのだろう、上のズミクロンより少しシャープ感がある。デザイン的には間延びした印象があり、これで充分なのだがフードも頼りなく、何かに触れるとすぐに引っ込んでしまう。距離環のターレットが浅めなので操作感もやや落ちる。ドイツ/E39/1994−。

M2にフードを伸ばした状態で取りつけた...撮影時はこのようになる。確かに不格好だが、便利ではある。と云うわけで数年ぶりに主力ズミクロンとして使いたい。レンズを交換しようとすると、フードの脱着は「面倒」「チャンスを逃す」.....スタイルはともかくとして、いいことは無いと云っていいだろう。

13.ズミルックス50mmF1.4 C 1962年  レンズ全体のデザインは3種類あるが、レンズ構成はコーティング/硝材に改良はあっても、大別して初期型と後期型があり、このレンズはその境目あたりのレンズで何とも云えない。シリアルナンバーで見ると後期型の最初期になるが、ライカのこととて完全に決めつけるわけにはいかない。なにせレンズ構成の変更を1961−1962に行ったが、それを公表したのは1966年なのである。E43/ドイツ/1959−1968(旧黒鏡胴1968−1994)。*

これはテストレンズ。ご愛敬にニッコール5cmF1.4のフードを着けてみた。同じ43Φなので可能である。このフードは50mm専用なので深さがあり、効果は大きいだろう。眼で見るとまったく分からないが、メッキの輝きがレンズの上下で異なるようだ・・・このレンズは異なるレンズの上下を組み合わせたものではない、もともとそういう仕上げなのである。浅絞りでの描写があまりにホヤホヤなので購入は諦めた。一般的には黒鏡胴のより新しいものの方が良さそうである。

1964年モデルがやって来た。かなり綺麗なレンズで期待がもてる。

14. ズミルックス50mmF1.4 b 1973 画質だけを見るとズミクロンに劣り、初期のズミルックスの開放付近のホヤホヤ感の個性を除いて、やや中半端な印象・・・しかし私の持っている後期のレンズは結構シャープ感があり、比較的国産の同時代の1.4クラスのレンズと似ている。ともあれ1絞り明るい事に値打ちがある。ハイスピードレンズとしては少し物足りない気分がするが、ノクチルックスの扱いにくさと比べると勧められるだろう。考え方によってはズミクロンを使い、一段遅いシャッターが切れるように努力する方が無難とも言えよう。私はいつか現行品も欲しいと思っている。 ドイツ/E43/レンズ構成としては1962−現行まで同じ、このデザインは1962−1994である。

フードをつけると大きい。しかし実際はフードが大袈裟なのであって、一眼レフのF1.4クラスのレンズよりはずっとコンパクトである。Leicaの場合このようなスタイルの大袈裟なフードが好まれているが、フードはやはりズミクロン35mm/7枚玉−ASPHのバヨネット式の箱形が一番いいと思われる。最大の効果で最大限小型に納め、かつフードキャップが合理的に取りつけられる=写すときも携行時も合理的だと思うのである。

現行品を借りて使ってみた。レンズ構成は同じとされているが、明らかに改良されていて、コントラストや発色は良くなったようだ。ただし個人的にズミクロンを好んでいるため、あえての購入には至らなかった。これも非球面化されたレンズが出たため、いずれ生産中止となるのだろうが、長年タイプを変えなかったズミルックスの改変は、コシナ=フォクトレンダー・ノクトン50mmの傑出した性能にライカが危機感を持ったためだろうと考えている。

15. エルマー50mmF2.8 c 1996 モダンエルマー。だいぶ旧エルマーから改良されたようでもあり(コントラスト)、さほど変わってもいない(総合力)とも云える。本来はライカの命名法なら「エルマリート50mmF2.8」と云ってもいいのだが、エルマー50mmは永遠なのだろうか。「カメラ談義」収録。ドイツ/E39/1995−。

新旧エルマー3本。

下の旧エルマーと比べるとスマートさに欠けるが、使用上は同じようなものだろう。新はヘリコイドリングによるピント合わせとなるが直進ヘリコイドである。

16. エルマー50mmF2.8 b 1996 上と色違いの同じレンズ。仕上げ・材質も異なり、どちらかというと黒の方が好きである(軽合金使用で軽く地味なので)。ドイツ/E39。

最近はあまり使っていないが、こうやって改めて眺めると悪くない。性能はさすがに現代のレンズ、心配は何もない。旧エルマーは性能としては劣るとは思われないが、悪条件では断然新エルマーだろう。

17. エルマー50mmF2.8 c 1962 旧タイプのエルマー2.8だが悪くない。1960年代に35mm判のレンズの技術は確立されたのだろうか?昔のライカとしては青い。「カメラ談義」収録。ドイツ/E39/1957−1974のロングランレンズで、一旦消えた後また復活した「エルマー50ミリは永遠か」。 2006.5友人にM3と共に譲った。*

M3に。赤エルマーと比べるとずいぶん大きいのだが、Mボディに取りつけるとやはりコンパクトである。沈胴させてポケットにポイッと入れられる。赤エルマーの時代は先の「つば」の部分の強度に弱点があり、ぶつけて歪んでいる個体も多いが、エルマーMの場合はそんなことはない。

18.エルマー50mmF3.5M 1957年  ライツ赤エルマーのMマウントモデルとされているレンズである。当然そこそこの写りはするが、まず旧式のレンズと言えよう。1958年にこれの改良型のF2.8(ほぼ同じレンズ構成だが新種ガラスの投入で半絞り明るくなった)が出るまでの暫定版と考えてよさそうである。1954−61年まで販売されていたが、実質的に生産は1957年で終わっている。数が少ないので高価であるが、私の見解ではF2.8の方が好ましい描写だと思われる(一般的には逆の評価だが)。E39/ドイツ

M3に取りつけるのがよく似合う。確かにこの時代のライツの仕上げは素晴らしいし、当時のモダンデザインの最先端を行っていたのである。これで今年の導入レンズ(買ったものと、交換したものと)はお終いである。数えてみると2本減、26本増であった。

別のM3に。絞り全閉にしている=第一レンズのすぐ後ろに絞り羽根があるのが分かる。

19. ヘキサノンKM50mmF2 b 2000 まったく問題なし。姿だけでなく描写もズミクロン現行品と似ている。限定の50mmF2.4レンズとはまったく異なる描写で、好みは分かれるだろう。どちらかというと、こちらが軟調である。ただし時として私の好まないマゼンタ系に振れることがある。E40.5。

ヘキサノンKMとライカの50mm/90mmはよく似ている。どちらもライカの方が大きく重いが性能も含めて実力伯仲だ。

右から二番目。ズミクロン50mmの現行品と似たような意匠である。

20.ズミクロン50mmF2/3rd  1983年  ライカ70周年記念モデル(黒1175本/白200本)。1913-1983の刻印以外は普通のカナディアン3rdズミクロンである。

3rdズミクロンは何と3本目(10と11のレンズ)である。今まで初期モデルとクロームモデルという特殊なものを持っていたが、普通の3rdレンズ(限定レンズだが)が来たということである。

カメラに取りつけてしまえばノーマルレンズとまったく変わらない。この頃から(1983)形だけの記念モデルが多発されるようになった。このレンズは数が少ないにもかかわらず、ライカ不振のM4−Pの時代だったためか人気はない。

21.コシナ・ツアイス ブラナー50mmF2 ZM  またしても増加。このZM系列のレンズには実用的な範囲での魅力が大きい。作りもしっかりしているし、どの絞り値、どの距離の撮影でも安心して使える。コシナが作っているのは確かだがカールツアイスの雰囲気は充分に保っているだろう=私の若い頃、ヤシカからコンタックス/ツアイスレンズが出てきたとき、とても大きな反響があったことは若い人には想像できないだろうが、今回のコシナも、その時ほどではないがいい線をいっているだろう。E43

MPに取りつけた。口径が43mmなのでライカレンズに比べると寸胴だ。

22.summilux50mmF1.4 クローム 1994年 一見古いバージョンのsummiluxに見えるが、現行品の前の型で本来はブラッククロームのみである。最終の生産ロットでシルバーレンズを作り、牛革巻きのM6ボディ+キャリングケース+トランクと合わせて500セットを「トラベラーセット」として販売した。ボディはノーマルの合成皮革の部分がバックドアやバッテリー室の蓋も含めて子牛革となっているほか、どういう訳か巻き戻しクランクがパンダになっている。数が少ない割に人気が無く、ずいぶんと安価(同程度のM6シルバー+アルファ)である。summiluxは真鍮製で相変わらず重い! セットのみのはずだが、ボディもレンズも小数単体で販売されていた。 E43

ほぼ未使用品である。金ローライもそうだが、少し古いカメラは限定品(もちろん不人気の)がいいかも知れない。人気はなくてもこれらを使用する人は少なく、11年経っても新品に近いものがある。9年前のアインシュトックM6のデッドストック品も見た。

23.コシナ・フォクトレンダー ノクトン50mmF1.1  35mmF1.2、75mmF1.8と同様、総本家Leicaレンズを凌ぐ性能のレンズと言えよう…特に昨今Leicaレンズの価格上昇を考えると「安い!」と言う印象だ。発売当時は「ずいぶん高いな」と思ったのである。現在ではLeicaM9でのみ性能を発揮できる不思議な位置をコシナのMマウントレンズ(ツアイスとフォクトレンダーのふたつのブランド)を大事にしたい。

 テストはまったくこれからだが、75mmF1.8の結果を見るとテストの必要すら感じない完成度を確信している。これほどの信頼はLeicaレンズと同じぐらいまでなっている。

福井県坂井平野にて。ここでも麦の捨て作りはなされていた…LeicaM9+ノクトン50mmF1.1をF2で撮影、あまりにピントが繊細で(M9のセッティングもコントラストを下げている)リサイズすると部分が分かりにくいが、とてもキレイな絵をつくる…ノクトン35mmF1.2/ヘリヤー75mmF1.8と同様、安心して一番綺麗に写る開放から1段絞ったあたりの撮影ができる。

24.コシナ・ツアイス ゾナー50mmF1.5   ずっと以前から欲しかったレンズ…限定的にオリジナルゾナーになるべく忠実になるように造ったと聞いていて、とても高かったので躊躇しているうちに忘れていた。このたび久しぶりに噂(確たる話ではないが「終了ではないか」とのこと)を聞いて調べると、価格も他のコシナ・ツアイスレンズより値引きをしていないことも分かったので友人の手引きで購入(やや安価で売れる最後の在庫らしい=つまり仕切りが高くなっている可能性大=コシナの流通はキヤノンやニコンとは違ってやや複雑)。

箱はノーマルモデルのビオゴン35mmと違って「CARL ZEISS AG」のクオリティシールが貼ってあり…including official Carl Zeiss Warrantyと書いてある。
…もう製造はしていない可能性を感じた。ツアイスイコンが製造・販売中止となった段階で、ツアイスイコン用のレンズがなくなるのはメーカーとして自然な成り行きと推察される…最近の新レンズはフォクトレンダーブランドで出している。 このレンズはコシナツアイスでも特別なレンズなので高価、人気が密かにあるにもかかわらず値引きも小さく今後も品薄状態は続くだろう。これでコシナ・ツアイスレンズは、25mmF2.8/28mmF2.8/3mmF2.85/50mmF2/50mmF1.5となった。

まだ純正フードが来ないので取りあえずカッコだけ25/28mm用のフードを取り付けて撮影。オリジナルのコシナ・ツアイスイコンとイコン用のゾナー50mmの晴れ姿だ。

←コシナのカメラ・レンズの販売流通を引き受けている(コシナ独自の販売網では全国展開できず、最初はケンコーそして次にフジになった)FUJIFILM のサイトからコシナ・ツアイスのレンズの全てが取り扱い商品から外れている…他のレンズも終わりかも知れない。コシナ・フォクトレンダー系やツアイスのボディ+アクセサリーは継続しているので販売会社が代わった訳ではない(@_@) ちょっとした杞憂が不安に変わる。

一方、コシナのフォクトレンダー系統には楽しいニュースも…今年のCP+でノクトン50mmF1.5VMの新レンズ(旧と中身が違うのかどうかは不明=コストの問題があるから旧に少しの改良程度だろう)が展示された(画像はデジカメwatchから転載させていただいた)。目玉はもちろん1950年代のオリジナル・フォクトレンダーノクトンのデザインを採り入れたことだろうw(゜o゜)w かなり趣味性が強く超カッコいい(写りは定評がある)…これもコシナ・ツアイスが消える前兆なのか…最近の意欲レンズはすべてフォクトレンダーブランドだし(m4/3用なども)復刻フォクトレンダーが出ると、コシナ=フォクトレンダーのブランドイメージになるだろう。それで良いと思う。

25.コシナ・フォクトレンダー ノクトン50mmF1.5/VM  予約していたのでアッサリ月曜に来た…コシナのサイトには予想外の受注で生産が追いつかない旨の異例の発表が載っている。これでコシナ・フォクトレンダーのノーマルシリーズ/クラシックシリーズ/そしてビンテージシリーズが揃い、人気が出れば「別のレンズ」も製造を始めるだろう。 E49mm

たぶん写りは旧とあまり変わらないだろうが、絞りリングやピントリングの質感や動作感が良くなり(細工が良くなった)…純正フードを付けた姿の写真がwebであまりないので紹介しておく=カッコは「かなり」良くなった(^-^)/ コーティングを強化したとのアナウンスだが、旧ノクトンの「青さ」がどうなったか知りたいものだ…今度の土日でテストする。

旧型と大きさはあまり違わない…フィルター径が52mm/49mmの差で全体に細くなっている(そして腰のくびれ…)。フードの先端径は同じでフードキャップはまったく同じものであった。

26.Leica summarit50mmF2.4  「デジタルカメラ・レポート」でも書いているように絞り開放から使える画質を持っている。F4になれば完成された像を結ぶ…明るいレンズではないが小型軽量でsummicron 50mmF2/3rdのF2.8と、これのF2.8を比べても全く見劣りすることはなく、現在の価格を考えるとお勧めレンズだ。 2016.9.15/46mm

最近のLeicaのレンズフード、ねじ込み式でピッタリ定位置で止まり、角形に見えて前から見ると円形のデザインだ。

27.7artisans 50mm / f1.1  中国製LeicaMマウントレンズ。44,000円程度の価格もさることながら、大口径標準レンズとしては衰退したゾナータイプでF1.1を実現させた珍しいレンズである。それによってノクチルックスやノクトンに比して、ずいぶん小型化できた。そしてそれよりも収差の残存を意識したソフトフォーカスレンズとの期待があり、導入とした(もう高性能なレンズは数多くもっているので普通の新規レンズは不要)。期待通り近接時の像面の湾曲や、中遠距離での収差補正不足などが確認された。6ビットコード付き・ピント位置の調整機能付き・貼り付け式のピントレバー同梱・仕上げはLeicaやコシナと変わらない出来映えである。

 フィルターはコンタックスG用55mmUV。

28.voigtlander HELIAR 40mmF2.8  2022.4.2

以前にコシナから出ていたヘリコイド無しのレンズやvoigtlander HELIAR 50mmF2.8などのレンズの改良版のようで、仕上げをオールドファッションにしてファンに訴求したものだろうが、それはそれで良いと思う。Leicaはデジタルカメラも造り続けているが、本気でプロなどを対象としているようには思われない(私も含めて)。そのマニアックな意味で一時は離れていたコシナVMレンズも集め始めたのである。


copyright nagy all rights reserved

TOP

inserted by FC2 system